[茂木健一郎]<SMAP目線で考える>逃げ場のないかたちでがんばるのが「アイドル」


茂木健一郎[脳科学者]

***

SMAPの方々とは、現場で何回かご一緒したことある。私とSMAPでは、ルックスもパフォーマンスも月とスッポンで、彼らの立場とか、心とかを想像することはできないけれども、それでも、敢えて、「SMAP目線」でものを考えてみたいと思う。

SMAP目線で考えれば、それぞれの現場で、自分のベストを尽くす、ということ以外にはないはずである。誰が持ってきた仕事だとか、どんな演出上の指示があったとか、そういうことは、結局、ファンの目には直接は映らない。

ファンが直接目の当たりにするのは、SMAPのメンバーたちのパフォーマンスだけで、それをいちばん良いものにしようと、メンバーたちは心を砕くはずである。それ以外に、仕事の質を上げる方法はないからである。

先日、「SMAPとジャニーズ事務所」というタイトルでブログを書いたら、さまざまなご意見をいただいた。日本の芸能界のあり方や、社会のあり方についてのご意見については、ごもっともと思う部分もあるが、とりあえず、現場でがんばるしかない。

現場という「文脈」を引き受けて、逃げ場のないかたちでがんばるのがアイドルで、しかしそれは社会の中のあらゆる仕事がそうだと思う。

そして、そのような「文脈」自体がどうなのか、という議論はもちろんあっていいが、それは現場の覚悟とは、また別の話である。

文脈うんぬんの話は別として、いったん引き受けることに決めた現場で全力を尽くすというのは、アイドルにかぎらず、すべての仕事、生活でそうである話であるはずで、「SMAP目線」は、実は、誰にでも思い当たる、生きる上での第一原理のようなものだと思う。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。