<一つの企画で1時間を乗り切るバラエティの減少>『開運!なんでも鑑定団』はテレビ業界の「天丼」である

テレビ

高橋秀樹[放送作家]

 
『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京 毎週火曜日夜9時)は、20年続く長寿番組である。
こういう、一つの企画で1時間を乗り切るというバラエティは、昔と比べて極端に減った。企画力の貧困が原因だろう。この番組は設定がきっちりしているので、繰り返しが利くのである。
設定はご存知の通り、「自分の持ち物で価値があるであると思っているものを自慢し、それを本当に高価かどうか判定する」欲と金が絡んだ見事な設定である。大事なのは「自分の持ち物」というところで、誰かの代理で持ってきたというような設定の時はつまらない。利害が絡んでいないとつまらない。
こういう「見事な設定で繰り返しが利くこと」を浅草のコントの設定で『天丼』という。ただ繰り返すことは天丼とは言わない。つまり『なんでも鑑定団』は番組ごとの『天丼』なのである。ところで、天丼の欠点は飽きることである。
『なんでも鑑定団』はイギリスの番組が原案である。英国版は各地方にロケに出かけ出張鑑定をするものだが、ここに日本と英国の伝統ある国という類似性が見られるのは、興味深いことだ。
日本版の出張鑑定も面白い。これは多種多様なお宝、雑多な人物が出てくるから面白いのであって、西洋アンティークや切手、古銭、おもちゃ、といった特集は面白さが数段劣る。
司会が、今田耕司になって番組は少し息を吹き返した。島田紳助の司会は上手いが、本人の山師的性格が前に出すぎて「投機的ないやらしさが」気になっていた。今田は値段に対する単純な驚き。極めて庶民的である。
もう一つ特筆すべきは、この番組が局制作ではなく、制作プロダクションが完全パッケージで納入していることである。
 
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