<日本ライフ協会事件>単身高齢者時代に「身寄りなし老人」が狙われている

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]
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少子高齢化と単身化の進む我が国は身寄りのない高齢者も少なくない。
「アパートに入れない」「入院ができない」「施設に入れない」「死んだあとの葬儀・納骨は誰が」と不安だらけというのが現実だ。
先ごろ経営陣が預託金を私的流用したことで公益認定を取り消された「日本ライフ協会」(高齢者の生活を支援する公益財団法人)の事後処理に当たる弁護士によれば、2600人の会員に返すべき預託金は11億円あり、うち支払える資産は4億5000万円という。
弁護士が事業存続のスポンサー探しをした結果、福岡市の社団法人に譲渡と伝えられるが、そもそも、それは本来は「国」がすべき仕事ではないのか? と思わざるを得ない。なにより、日本ライフ協会の公益法人を認可したのは「国」なのだから。
一人暮らしの高齢者は、アパートでも病院でも施設でも、「保証人」がいなければ受け入れてはくれないという。そこで日本ライフ協会が「身元保証人」となり、老後の葬儀・納骨まで「契約で安心」を謳って集客していたのだから、その罪は深い。
公益法人なのだから多くの人が信頼してなけなしの金を預けてしまったのも無理はない。まさか公益法人が預託金を私的に流用するとは思わない。そう考えれば、公益法人を監督する「国」の責任は免れないだろう。
単身老後の安全と安心に残された課題は大きい。不安を払拭するためにも、やはり「身元保証人」は行政が担う時代であるのではないか。
 
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