<熊本地震 視聴率調査休止の是非>大災害時の報道は全テレビ局による分業が必要

社会・メディア

メディアゴン編集部
***
メディアニュース・メデイア批評サイト「メディアゴン」に元・毎日放送プロデューサーで現在、同志社女子大学教授の影山貴彦氏の論考「<熊本地震 テレビ報道のありかた>緊急事態の今だけは「視聴率調査」を休止すべきhttps://mediagong.jp/?p=16597)」を掲載した。この記事に対してたくさんのコメント、反響を頂いた。
その中に、記事を配信しているBLOGOSのコメント欄に、建設的な提言があったので、そのまま引用し、ご紹介したい。
<以下、記事へのコメントの引用>

「たぶんこの人(影山氏)が言いたいのは、大規模災害時には横並びの報道をやめて、例えばNHKは全体を。NTVは大分県、TBSは熊本県北部、テレ朝は熊本市、フジは熊本県南部」のように分業しつつそのエリアの情報に集中させたいのかなと思った。
こうすると視聴者数が偏るのは明らかなので、その期間は「視聴率が~」と言うのをやめません?ってことでしょ。あ被災地の地方局はもちろん地元情報に集中だよ。それ以外の地域の人が見る全国放送の話ね。
東京にいる大分県人が地元の情報を得たいと思っても、大分の情報が出るまで熊本の情報を延々見続けなきゃならない。でもNTVは大分の情報をやってます!なら、そっち行くでしょ。
正直、こういう時は報道の分業はしたほうがいいと思うんだよなあ。」

<以上、引用>
以上がコメント欄に書かれた意見、提言である。一読して、これは十分に可能な提案であると感じた。
系列の地方局では、局の規模によるが、報道に携わる人は管理職カメラマン、アナウンサーを含めておおよそ10人程度である。大災害が発生すると、東京や中核都市の基幹局から応援部隊が入る。このコメントの提案では、地方局は地元ニュース中心にということだが、地元局も含めた系列局別に分けた方が良いかも知れない。
【参考】<熊本地震で民進党ツイッターが炎上>「中傷ツイートは職員の責任」理論は炎上が加速するだけ
何のために記者クラブを作って系列を越えた懇親を図っているのか。こういう時こそ懇親の成果をみせるべきだろう。民間放送連盟という意識があるが、この計画をまとめられる剛腕な会長がいれば、歴史的な快挙、歴史に名前を残すテレビマンなるのではないか。
そういった大同団結的な動きができるまでは、影山氏の論考のように、目先の利益を追求してしまう視聴率の発表を一旦中止することだろう。日本で視聴率調査をしている組織はただひとつ「株式会社ビデオ・リサーチ」である。
この会社はご存知のように、東京・大阪のキー局が出資している会社なのだから、後は電通などの大手広告代理店を納得させ、協力を取り付けることができれば、可能なプランだ。
一部のCMは自粛になっているが、小手先の「ごまかし」に思える。「わが社は被災地を心配しているのですよ」ということをアピールするためのポーズにしか見えない。なぜなら、よほど非常識で場違いなCMや、KYなタイミングでのCM入りでもない限り、震災報道の途中にCMを流したところで、視聴者から多くの文句がでるようにも思えない。
各局が横並びになって、表面的な「心配してるポーズ」で世間様を伺うような姿勢は、未曾有の大惨事の今、イメージアップにはつながるようには思えない。むしろ、CMを堂々と流して、その売り上げをテレビ局を通じて義援金にしてはどうだろう。一夜にして莫大な金額が集まるはずだ。
そうなれば、テレビ報道は真実を伝えることだけが目的となる。芸能人の不倫と猟奇殺人と震災報道の違いも理解せずに、倒壊しかけた家の前にカメラを据えて、その衝撃の瞬間を待っているような、不埒なクルーもいなくなるはずだ。
 
【あわせて読みたい】