キンコン西野「居酒屋で愚痴を言うぐらいなら会社を辞めろ」


西野亮廣[キングコング/漫才をする絵本作家]

***

今度の絵本『えんとつ町のプペル』は、まぁ、他のことも同時進行でやりつつだけれど、制作に4年半かかっている。

それだけではなくて、僕は25歳から活動を『モノ作り』の方にシフトしたので、一つの仕事のスタートからゴールまで、どうしても時間がかかってしまう案件ばかりだ。

しかし、吉本興業は半年~1年で担当マネージャーが変わってしまうシステム。テレビを中心に生活を回すのならば、とても良い仕組みだと思うけれど、作品を作る場合、これだと、企画立ち上げからデリバリーまで、何人も何人も担当が変わってしまって、デリバリーをする時の担当マネージャーに、

「いや、そもそも俺が立ち上げた企画でもないしな・・・」

という気持ちが生まれてしまって不利に働いてしまうので、僕は、モノを作る時は基本的には、企画立ち上げからデリバリーまで僕と心中してくれる外部の人と組むようにしている。

僕が吉本興業に対して不満がないのは、そこがやれているからだし、そこをやらせてもらっているから。しかし、最近、

「でも、せっかく吉本興業にいるのに、スケジュールとお金の管理だけの付き合いもなぁ…」

と思うようになってきた。やっぱり大きな会社だし、いろんな才能が揃っているし、どうしようもないヤツもいるけれど、本当に頑張っている人もいる。

半年~1年おきにマネージャーがコロコロ変わるから、僕の中で、

「どうせ、この作品ができる頃には、違うマネージャーになってんだろうなぁ…」

という諦めがあったんだけれど、最近、

「時間がくれば、間違いなく目の前からいなくなっちゃうけど、それでも付き合っていこう」

と思うようになった。キッカケは何だろうな。もしかしたら、『えんとつ町のプペル』かも。

【参考】<使えない人の条件>キンコン西野がマネージャーに厳命する3つのこと

何としてでも届けたくて、これまで、「どうしたらいいかなぁ?」と外部のスタッフや友人に相談していたことを、外部のスタッフや友人だけでなく、吉本の社員にも相談するようになった。もちろん、数か月後には変わってしまうであろうチーフマネージャーや現場マネージャーにも。

相談した以上、数ヶ月後に確実に「寂しさ」や「やりきれなさ」がやってくるんだけれど、それでも作品を届けたいと思った。

昨日、僕と、僕以外の4人全員が吉本社員という打ち合わせがあった。そういえば、ここ数年、「全員吉本社員」なんてことは無くて、新鮮で、そして事実、おかげで大きな大きな仕事の話が前に進みかけているから、これもいいな、と思った。

ずーっと一緒に生活していると、『良い部分』か当たり前になって、『悪い部分』が悪目立ちするようになるから、本来、味方である人に対して、マイナスな感情・・・ヘタすりゃ、敵のように感じてしまうことがあるんだよね。

16年間一緒にいてくれる相方に対しても、そう思ってしまう時があるぐらいだもの。ただ、互いの事情があるだけで、絶対に敵じゃないし、噛み合わない歯車に油を差せば、きっと上手くやれる。

居酒屋で会社の愚痴を言っている芸人には「だったら辞めろよ。それか、社長に言いに行けよ」と思うし、言っちゃう。どこかでオイシイ思いをしているから残っているわけだし、こんなところで愚痴ったところで何も解決しないし、どうせ明日も愚痴る。

上手く付き合いないのは、上手く付き合うアイデアを提案できていない自分の能力不足だと思うようになった。

[編集部註]西野亮廣氏の次回作『えんとつ町のプペル』は2016年秋頃に刊行予定。早くもサイン本の予約販売を開始している:http://nishino.thebase.in/items/3190857

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

西野亮廣

芸人吉本興業
西野亮廣(にしのあきひろ)お笑いタレント、俳優、絵本作家、漫才コンビ「キングコング」のツッコミ、ネタ作り担当。1980年、兵庫県出身。タレント活動と平行しつつ、2013年2月には、ニューヨークのトライベッカ「One Art Space」で初の海外絵本絵画展「Akihiro Nishino Solo Art Exhibition」を開催。同年11月には「TDW ART FAIR 2013」の「小川登美夫賞」「川崎健二賞」も受賞。著書に、「グッド・コマーシャル」「嫌われ西野、ニューヨークへ行く」「Dr.インクの星空キネマ」「ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス」「オルゴールワールド(原案:タモリ)」など。