リオ五輪の閉会式で感じる「マリオ」のキャラ設定の強さ


茂木健一郎[脳科学者]

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リオ五輪の閉会式で、東京への旗の受け渡しがあった。その際に披露された東京の紹介のプレゼンテーションは、とてもおもしろかった。ほぼ満点と言って良いのではないか。特に、マリオと安倍首相の重ね合わせが面白かった。

改めて感じたのが、マリオのキャラクター設定のすばらしさである。リオに間に合わないからと、土管を使って、地球を抜けてリオの会場にマリオに扮した安倍首相が登場したわけだが、あの設定を可能にしたのは、マリオの設定の引きの強さだと思う。

マリオが土管に入るとき、例の効果音が鳴って、本当に吸い込まれていくような、そんな感じがある。それから、土管の下は、全く違った世界になっていて、その緊迫感が、ゲームの大切な味付けになっている。

【参考】<リオから東京へ>オリンピック成功の秘訣は「アスリートが主役」という本質

マリオのゲームでは、地下世界は、音楽が変わって、より危険度が増している場合が多い。炎に包まれたバーが回転していたり、ノコノコが走り回っていたり、ボスがいたりする。そのような世界観の転換をうながす「結界」になっているのが、土管である。

そのようなさまざまなメタファー、感覚が共有感覚として成立していたからこそ、あの閉会式の演出は成功したのだろう。今回はマリオとドラえもんだったが、日本には伝統的なものを含め、まだまだキャラクターが多い。2020年開会式へのジャンプは、成功したのではないか。

百鬼夜行や、鳥獣戯画などからキャラクターを引っ張ってきてもいいだろうし、ゴジラが登場しても良い。今回の閉会式で、演出の方向が見えてきただけに、開会式が楽しみになってきた。もちろん、オリンピックの主役がアスリートたちで、セレモニーはアシスト役であることには、変わりがないのだけれど。

  (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。