振付師のワザ光る『逃げるは恥だが役に立つ』の恋ダンス


保科省吾[コラムニスト]

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TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の「恋ダンス」はすぐれた演出力の高さを感じさせる職人芸である。

まず、このシャレっぽいエンディングを考えた企画がすばらしい。

筆者は原田知世版の映画『時をかける少女』(大林宣彦監督)のエンディング以来の衝撃を感じた。この映画のエンディングでは、印象的なシーンのセットそれぞれで、楽曲「時をかける少女」を出演者全員で歌っていくのである。

さて、「恋ダンス」は、いわばドラマのおまけである。ドラマ全体から考えれば、撮影時間や予算で一番にカットされてもおかしくないシーンである。それを残しているところがすばらしい。

さらに振り付けがすばらしい。

【参考】最近のドラマは恋愛ドラマが少なく、ロケも居酒屋ばかり?

ドラマ主題歌「恋」のミュージック・ビデオ内において、星野源やダンサー集団ELEVENPLAYによって披露されるダンスを見ると、新垣結衣が踊るものよりも、切れが良い。角が立っている。

ドラマの新垣結衣版「恋ダンス」は、この原型のダンスからひと手、ふた手を分からぬように抜いて簡単にしている。振付師のMIKIKOのすぐれた指導である。

マイケル・ジャクソンのダンスは誰も完全コピーは出来ないが、それを他の人に踊らせてそれらしく見せるときは、一部フリを手抜きし、それが分からないようにする。こういったことも振付師のワザである。

ひと手ふた手、フリや間を抜くことでキレるダンスよりかえって、新垣結衣のかわいさが倍加することをMIKIKOは分かってやっていると思われる。

こういう余裕が感じられるドラマは当然本編も面白い。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。