オスプレイ墜落を「不時着」と伝える大本営NHK – 植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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オスプレイが墜落した。

オスプレイは海上に墜落。機体は大破した。乗員5名のうち、2名が負傷した。やはり懸念は現実のものになった。

このオスプレイが高江ヘリパッドに配備されている。沖縄県の翁長雄志知事は、高江ヘリパッドへのオスプレイ配備に反対すると明言してきた。したがって、高江ヘリパッドの運用中止を国に申し入れるべきである。

北部演習場の返還は、高江ヘリパッド整備とのバーター取引である。高江のヘリパッドにオスプレイが配備されるなら、高江ヘリパッドの運用は認められない。

この問題が解決するまでは、北部演習場の返還は宙に浮く。やむを得ないことだ。

翁長雄志知事は沖縄県民との公約を踏まえて、北部演習場の返還問題凍結を国に申し入れる必要がある。安倍政権は12月122日に北部演習場返還の記念式典を予定しているが、まずは、この予定を凍結する必要がある。

翁長知事は返還式典を欠席する意向を示しているが、式典に出席する、しないの問題ではなく、オスプレイが配備される高江ヘリパッドの運用は断固として認められないことを国および米国に伝える必要がある。

オスプレイは絶妙のタイミングで墜落したということだ。

さらに驚くべきことは、この「オスプレイの墜落」をNHKが、

「オスプレイ不時着」

と報道していることだ。「不時着」とは、予定外の場所に着陸、あるいは着水することで、「墜落」とはまったく異なるものである。

オスプレイの機体が完全に維持されて、海面上に「着水」したのであれば、「不時着」だが、今回の事故は、オスプレイが墜落して、機体が完全に大破したものであり、これは「不時着」ではなく「墜落」である。

第2次大戦時の大本営発表と、いまのNHK報道はまったく同じだ。籾井体質というよりも、これは、安倍体質である。

高江ヘリパッド建設を強行しているなかで、起きてはいけないことが起きた。危険極まりない軍用機であるオスプレイが、前評判を覆すことなく、またしても墜落したのである。

NHKは乗員5名の命に別状はなく、このうち2名が負傷した模様だが、詳しいことは分かっていない、と伝えたが、伝え方が犯罪的である。

オスプレイは海上に墜落し、乗員が負傷した模様。負傷の程度は判明していない、と伝えなければ正しい報道ではない。

NHKの現場は何をしているのか。誰がどのような指示を出して、「墜落」が「不時着」に改ざんされたのか。

同時に紹介している稲田防衛相が「事故」と発言している。「不時着」は事故ではない。

いま何よりも必要なことは、沖縄県知事の明確な行動である。オスプレイが墜落しても、高江ヘリパッドを翁長氏が容認するのなら、翁長氏に対する沖縄県民の不信感は一気に拡大することになるだろう。

沖縄県民の意思をくみ取るようなジェスチャーだけ示しながら、結局のところ、政府の言いなりになるなら、これが最悪である。

翁長知事は、リコールなどという不名誉な事態に遭遇しないためにも、沖縄県民との公約を踏まえて、直ちに毅然とした行動を示すべきである。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。