出演者のマンザイがうまくなってた「THE MANZAI 2016」


高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

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2015年から正式番組名が『Cygames THE MANZAI 2016』と、SNSゲーム大手のスポンサー名を冠に付けることになったフジテレビ「THE MANZAI」。今一番面白いと番組が考える漫才師のネタを楽しむ大会である。12月18日の放送を見た。

好々爺然とした最高顧問ビートたけしがMCと共にネタの上手さを褒め称える番組であった。全員うまい。マンザイとしてのレベルが上がっている。それはたけし最高顧問の言うとおりである。

さて、筆者の発見があったユニットを列挙する。

<トット(多田智佑と桑原雅人・吉本興業)>

番組の公式ページには出場者としての名前が記されていない。ノンスタイルの代わりに急遽出演となったのだろうか。ボイスパーカッションのつかみが面白い。取り上げるネタは旧来からある反抗期の対処の仕方というネタだったが、それへの返しが、現代的に変化している。

【参考】<残念すぎた「ENGEIグランドスラム」>志のない番組作りがフジテレビ全体をダメにする

漫才師としてのテクニックもあるので、そっちに行った方がラクだろうが、楽な道は閉ざして、ネタ自体が新しい漫才を目指して欲しい、筆者は初めて見たが有望株。

<中川家(礼二と剛・吉本興業)>

ふたりのマンザイは既に完成している。安定感があり破綻がない。たとえばお題マンザイのような客からテーマを貰って即興漫才にするような試みに挑戦して欲しい。

<フットボールアワー(岩尾望と後藤輝基・吉本興業)>

面白い。岩尾の発想法が非常に特殊なので、ネタで予定調和の漫才台本をただやっている感じがしない。後藤が普通なので岩尾のフラが非常に際立っておもしろみがにじみ出す。

<千鳥(大悟とノブ・吉本興業)>

最高顧問と同じ結論になってしまったが、出場ユニットの中で最も面白かったのが千鳥である。ひとつの設定を決めてそこをしつこくついていくのはコント55号のやり方でもある。この方法はうまくいけば客の笑いが重層的になる。客席の笑いが後ろから襲ってきて、その波の収まらないうちに笑いの波の第2派が来る。その通りになっていたと思う。

出場ユニット中、千鳥のみが、ネタのアウトラインだけを決めて、後は客の反応に合わせて変幻自在にネタを変えていく手法であった。その勇気を称えたい。

こういうネタの場合は落ちはどうでも良く、時間が来れば終わればよい。ただ、このネタをもう一回をやるとしたら、もっと勇気がいる。毎回新ネタが理想だけど。

 

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