NYダウ2万ドル突破も正当に報道しないメディア – 植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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拙著『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』(ビジネス社・https://goo.gl/CxeiSg)に、NYダウ2万ドル、日経平均2万3000円時代へと記した。

米国大統領選挙の直前、11月4日のNYダウ終値は17888ドルだった。このNYダウが昨日1月26日に20068ドルで引けた。2ヵ月半強で2180ドル、12.2%上昇した。

NYダウが1万ドルの大台を突破したのは1999年3月のこと。18年の時間を経て2万ドルの大台に到達した。日経平均株価は大統領選の結果が判明した11月9日終値が16251円だった。これが、1月4日に19594円に上昇し、今日、1月26日には19402円で引けた。2ヵ月で3343円、20.6%上昇した。

米国大統領選でトランプ氏が勝利したことに対して、主要メディアは総攻撃を加えているが、金融市場は正反対の反応を示している。NYダウ2万ドル突破はビッグニュースだが、主要メディアはこれを正当な規模のニュースとして伝えない。ダウ2万ドル到達は、トランプ新政権を支援する材料になるからである。

選挙戦終盤では、クリントン勝利=ドル高=株高、トランプ勝利=ドル安=株安だと決めつける情報が盛んに流布された。主要メディアはトランプ勝利を阻止するために、不正で不当な情報操作を展開したと判断できる。

しかし、米国の主権者は、この情報誘導を撥ね退けてトランプ氏を勝利させた。主権者がマスメディアの情報操作、情報工作を打ち破った意義は限りなく大きい。英国の主権者がEU離脱の国民投票で、やはり、マスメディアの情報誘導を打ち破ったことに続く快挙である。

トランプ氏の主張がすべて正しいというわけではないが、ひとにぎりの巨大資本が一国を支配することに対して、トランプ氏が異議を唱えたことに、米国の主権者が賛同したことが、大統領選の結果をもたらしたと言える。

強欲な巨大資本=多国籍企業=ハゲタカは、世界市場の統合、究極の最低賃金コストを求めて「新自由主義経済政策」を推進しているが、これに、英国の主権者、米国の主権者がストップをかけた。

その意味は限りなく大きなものであると言える。いま求められているのは、「究極の最低賃金コスト」ではなく、「分厚い中間層の創出」と「手厚い最低所得水準の保証」である。

私はこれが経済再生の決め手であると判断している。前著『日本経済復活の条件』(http://goo.gl/BT6iD7)で提案したのがこのことである。

民から搾り取ることと資本が肥え太ることだけを追求すれば、「民亡びて、資本も亡ぶ」結果に行き着くことは明白なのだ。「民を栄えさせて初めて資本も存続できる」ことを忘れてならない。

メディアはトランプ新政権を総攻撃しているが、この新政権は、具体的な成長政策を提示する可能性が高い。トランプ新政権の経済政策に対する正確で適正な論評がほとんど存在しない。

そして、主要メディアは現実の経済金融変動の予測を完全に間違えてきた。少なくとも、この事実を正確に把握しておくことが必要だ。

植草一秀の公式ブログ『知られざる真実』はコチラ

 

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。