<僕はお金を大事にしない>富豪・高須院長「伝え方」のすごさ


安達元一[放送作家]

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高須クリニック・高須克弥院長といえば、ヘリコプターで「ポケモンGO」をしたり、今をときめく(?)ピコ太郎とコラボCMを作ったりと、なにかと話題を振りまく人物。

そんな高須院長が、2月27日放送の『バイキング』(フジテレビ系)で語ったお金についての考え方が話題を呼んでいる。

「お金は血液、循環しないと。貯めても害をなすだけ」

「僕はね、お金を大事にしないの。お金は、ぐるぐる回ってる血液みたいなもの。使えば自分のところに戻ってくるんだよ」

と言う高須氏。どうやら、お金は単に社会に循環させるだけではなく、循環することによって、更に儲かるという哲学のようだ。お金は単なる紙切れで、それを積んでおいてもなにもならない、どう使うかが重要というメッセージである。

「自己投資なんて気負わず、役に立たなくても自分にとって面白いことに使うのが一番幸せ。自分が面白ければ、趣味でも勉強でもなんでもいい。お金を使わないと稼げないよ。宝くじだって買わなきゃ当たらないんだから。お金をただ持っていても、学びたいスキルは身に付かないし、彼女がいてもデートだってできない。お金は循環させて初めて価値を生むんだから」

多くの人が、「お金は大切にしなさい」「万が一のための備えなさい」と言う中で、それと相反するようでいて、それも真理であるような、自分流の強いメッセージを発するところが高須氏の魅力である。

「お金を貯めることに没頭するのは愚かですよ。あなたの一生がお金の奴隷では悲しいとは思いませんか?」

豪快な金使いは、社会貢献の分野でもいかんなく発揮されていることは有名だ。熊本地震の支援物資を積んでヘリで駆けつけたり、ナイジェリアの貧困サッカチームに約4000万円を寄付したり、フィギュアスケートの安藤美姫選手の支援を申し出たりと、生きたお金の使い方のエピソードには事欠かない。

多くの寄付や支援に対し、紺綬褒章や日本赤十字社金色有功章などが授与されているが、そういうところでもお金を例に挙げて魅力的に伝えている。

「1000万円儲けるよりも1000万円を慈善活動に使って喜ばれるほうが嬉しい」

死んでもお金はあの世に持っていけないから、個人資産の全額を慈善活動で使い切ってしまう、「子供たちが争うから」と子供たちには財産の一切を残さないと表明していることは有名な話だ。

【参考】<箱根駅伝>青山学院大学・原晋監督にみる「若い人をその気にさせる伝え方」

筆者は25年にわたり放送作家としてテレビの第一線で活動し、多くの有名番組、人気番組に関わることができた。もちろんその中で、お金にまつわる話も数多く扱ってきた。とんでもない大金持ちや、大企業の社長などにも数多く出会ってきた。

しかし、高須院長ほど、お金に対して美しくも豪快な考えを持っている人を筆者は知らないが、他の追従を許さないそのパワーは、彼の「伝え方」が素晴らしさにあると感じている。

筆者は、あるボランティア団体のイベント(お祭り)で、高須院長とご一緒したことがある(ご本人は覚えてないと思いますが)。そのイベントは、招待制で家族以外は事前に登録した招待客した入場はできない。

その日は、通りがかったある小さい子供が入り口付近で、「行きたい、行きたい」とダダをこねてしまう場面があった。もちろん、事前に登録していないので入場はできない。スタッフが丁寧に断ろうとしているその瞬間、高須社長は割り込んでこう、切り出した。

「彼は僕の家族だから、入れてあげて」

もちろん、スタッフはその子が高須社長の家族でないことは知っている。しかし、その高須社長の勢いにスタッフも思わず、「家族でしたら、ぜひどうぞ」と入場を促したのだ。

さっきまで事務的に「招待制だからダメ」と断っていたスタッフも、思わず態度を翻してしまう美しすぎる伝え方。これこそ高須院長のすごさの真髄だ。この場面を目撃し、筆者は思わずグっとこみ上げてきた。

放送作家という職業柄、筆者は常に「伝え方」の重要性に関心を向けてきた。同じようなアイデアでも、「伝え方」の違いで採用にもなれば、却下にもなる。ボーナスを貰えることもあれば、名誉毀損で訴えられることもある。それほどまでに「伝え方」は全てを左右している。

筆者は、そんな「伝え方」の様々な事例についてまとめた著書『人もお金も引き寄せる伝え方の魔法』(すばる舎)を先日上梓した。人を引き寄せ、お金を引き寄せる「伝え方」の数々のエピソードを集めたが、高須氏の伝え方のインパクトはやっぱり群を抜いている。(具体的な事例は、拙著『人もお金も引き寄せる伝え方の魔法』をご参照ください。http://amzn.to/2i58hQo )

高須氏のメッセージの強さのルーツは、その生い立ちにあるようだ。インタビューでこう語っている。

「いじめられた幼少時代を過ごしたからこそ、困っている人の痛みを感じやすく、助けたいという思いにかられる」

そしてその思いは、整形美容の業界で実践されている。

「他院では断られてしまうような手間のかかる大変な手術も、私たちは出来る限りお受けしています。もし当院が断ってしまったら、悩んでいる患者様を誰も救うことは出来ません」

そして、あの有名なキャッチコピーが生まれた。

「YES!高須クリニック」

どんな説明よりも印象的でダイレクトな伝え方。値段やサービスのような細かい宣伝情報よりも、伝えなければならないメッセージがある。「YES!高須クリニック」のフレーズが全てを物語っているのだ。

苦しくても頑張っている人のために「YES!」と言う。高須克弥氏お馴染みのメッセージの根底を垣間見た気がした。

 

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安達元一(あだち・もといち)放送作家。1965年生まれ。バラエティ番組を中心に活躍する放送作家。株式会社モトイチエンタテインメント代表取締役。近年では教育ビジネスの分野でも活躍。一般社団法人ビジネスプロモーション協会理事。コンテンツブレイクスルーカレッジ主宰。アイデア工学Works主宰などその活動は多岐に渡る。第57回国際エミー賞入賞「たけしのコマネチ大学数学科」、第42回ギャラクシー賞テレビ部門大賞受賞「笑ってコラえて!文化祭 吹奏楽の旅 完結編 一音入魂スペシャル」、2007年国際平和映画祭JAPAN in こしの都、グランプリに当たる「こしの都賞」受賞「一宿一通」、処女小説「LOVE GAME」(幻冬舎)を上梓、読売テレビにて連続ドラマ化など。