公務員の「不正」を「忖度」にすり替えるな -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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「忖度(そんたく)」に関心が注がれたが、問題の本質は「忖度」にはない。「忖度」は「他人の心をおしはかること」で、「相手の真意を―する」などと使われるが、何事をするにしても、「相手の真意をおしはかること」重要なことであり、間違ったことでもない。

公務員が上司や行政府の長の「真意をおしはかって」行動することは悪いことでもないし、してはならないことでもない。重要なことは、公務員が「中立、公正、公平」に仕事をするのかどうかだ。

「忖度」=「相手の心をおしはかること」は構わないが、だからと言って「中立、公正、公平」を揺るがしてはならない。ここがキモである。

森友疑惑で問題になるのは、公務員が「中立、公正、公平」の基準を踏み越えて行動したのかどうかなのである。結果として、「中立、公正、公平」の基準が踏み越えられたならば、その行為が正される必要があるし、その行為を行った者の責任が問われなければならない。

また、自分の発した行動により、公務員が「中立、公正、公平」の基準を踏み越える行動を行ったのなら、その行為を招いた人物の責任も問われる必要がある。森友疑惑の核心は、「豊中の国有地が適正な対価で譲渡されなかったのではないか」との疑惑である。

鑑定評価額が8億6500万円の国有地が1億3400万円で払い下げられたことが「不正廉売」に当たるのかどうか。これが問題の核心である。

仮にこの国有地払い下げが「不正廉売」であるなら、その「不正」を行った人物の責任を問わなければならない。これが問題の本質である。

財務省は必死に、国有地払い下げが「不正廉売」ではなかったと主張しているが、その主張が妥当なものであるのかどうかを、客観的に判定しなければならない。現在までに明らかになっている各種情報を踏まえれば、当該国有地売却は「クロ」である。

地下埋設物除去費用としての8億円値引きに合理的な根拠がない。この判定が正しいなら、この取引事案は、「財政法違反事案」の「不正廉売事案」ということになる。「不正廉売」の責任者の責任を問う必要がある。

そして、この場合、安倍首相および安倍首相夫人が、土地売却問題に「関与」していたなら、安倍首相は首相辞任と議員辞職を実行しなければならない。その理由は、そうすることを安倍首相自身が国会答弁で明言していることにある。

「忖度」が問題なのではなく、「財政法違反」が問題なのだ。国会は、この点を明らかにするべきだ。「当該土地は、昔は沼地だったから値引きは正当」とする主張があるが、事実誤認である。

少なくとも1945年時点で、当該土地の大半は通常の更地であった。敷地のごく一部に池が存在していただけに過ぎない。8億円値引きの合理的な根拠は存在しない。この点を明らかにするべきだ。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。