<森友疑惑>核心は国有地不正売却の認定 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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森友疑惑を追及するから民進党の支持率が低いのではない。森友疑惑の追及が甘いから民進党の支持率が低いと言うならまだ分かる。民進党の支持率が低いことと、森友疑惑とはまったく関係がない。

主権者の大多数は、安倍政権が森友疑惑に対して説明責任を果たしていないと判断している。少なくとも、安倍昭恵氏が一切の説明責任から逃げ回っていることに対して主権者は怒り心頭に発している。

民進党の支持率は低くても、森友疑惑について安倍政権が説明責任をまったく果たしていないことに対する主権者の怒りはすさまじい。「逃げるは恥だが役に立つ」と考えているのだとしたら大間違いだ。「逃げるは恥で責任放棄」でしかない。

安倍首相の姿勢は「逃げ恥」ではなく「逃げ得」を狙っているものでしかない。問題の本質は国有財産が不正に払い下げられた濃厚な疑いが存在することである。これは財政法に反する違法行為である。その行為を行った者は「背任罪」を問われる可能性が高い。

その「犯罪」の成立に、首相夫人の安倍昭恵氏が「関与」した疑いが存在するのである。安倍首相は2月17日の国会答弁で

「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」(議事録251)

「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」(議事録255)

と答弁している。

森友学園の土地取得問題、学校認可問題に、安倍首相や安倍昭恵氏が「関与」していたら、首相と議員を辞任することを明言している。それほど「重大」な事案であることを明言したのは、安倍晋三氏自身である。

森友学園の土地取得問題に関与していたら、間違いなく首相辞任、議員辞職だと明言したことは、森友学園の土地取得問題が重大な違法性を有しているとの認識を安倍晋三氏が当初から有していたことを示唆している。

現実に、鑑定評価額が9億5600万円の国有地が1億3400万円で払い下げられている。財政法第9条に反する、国有地の不正売却の疑いが濃厚なのである。その違法取引に安倍昭恵氏が深く関与していたとの疑いが濃厚に存在する。この疑惑を払拭するには安倍昭恵氏の説明が必要不可欠である。その説明の機会を国会が設定できないなら、国会は完全に機能不全に陥っているとしか言えない。

財務省が首相の存在を認識して、「その心情を思い測った」とする「忖度(そんたく)」が問題視されているが、「忖度」は本質的な問題ではない。「首相の心情を思い測った」として、そのこと自体は何の問題もない。

問題は、「適正な対価で売却したのかどうか」の一点に絞られる。仮に安倍昭恵氏が森友学園の土地取引に何らかの形で関与していたとしても、土地取引そのものに違法性がないなら問題にはならない。安倍首相が「関与していたら辞任する」と明言していたとしても、土地取引そのものに違法性がなく、また、学校認可についても適正なものであったなら、安倍首相が辞任する必要はない。

問題は、国有地が不正に低い価格で売却された疑いが濃厚に存在することなのだ。地下埋設物が存在し、そのことによって売却価格の値引きがあった。また、地下埋設物の除去が行われ、費用が国から森友学園に支払われた。この値引きおよび埋設物撤去費用の支払いが適正であったのかどうかが問題の核心なのである。この点を明らかにするのが国会の役割である。

値引き交渉の詳細を知っていると見られる酒井康生弁護士、および、安倍昭恵氏の参考人招致、そして、当該国有地の地下埋設物の現況を確認する必要がある。

当たり前の、当然実行されるべきことが国会で速やかに実行されるべきである。安倍首相は重大事案から逃げるべきでない。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。