<政治私物化>非を認めぬ安倍首相の失脚は確定-植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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この国を救うことができるのは誰だろうか。答えは明白だ。私たちしかいない。

日本の主権者は誰か。これも明白だ。私たちが日本の主権者なのだ。

主義主張はいろいろあるだろう。意見の対立はあるのが当然だし、あってよいことだ。しかし、どの道を進むのかを決めるのは、私たち主権者だ。そのことを忘れてはならない。

原発を稼動させるのか、それとも廃止するのか。日本を戦争をする国にしてしまうのか、それとも、戦争をしない国であり続けるのか。これを決めるのも、私たち主権者だ。そして、私たちのくらしやいのちに直接関わる経済政策。弱肉強食を奨励して、一握りの人々が絶対的に強くなり、圧倒的多数の人々が下流に押し流される。

このような弱肉強食奨励、弱者切捨ての経済政策を続けるのか、それとも、すべての人々が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる経済社会にするのか。これを決めるのも、私たち主権者だ。

安倍政治は、原発を推進し、日本を戦争をする国に変え、そして、弱肉強食を際限なく推進している。この政策路線に賛成する人はいるだろう。いてもおかしくない。しかし、この政策、政治で恩恵を受けるのは、ほんの一握りの人々だけだ。1%、あるいはもっと少ないだろう。

圧倒的多数の主権者にとって、安倍政治は「百害あって一利なし」だ。だから、安倍政治を積極的に支持する主権者は驚くほどに少ない。

しかし、安倍政治の問題点はこれだけでない。安倍政治のモラルに対して、これを徹底的に嫌う主権者が激増している。森友・加計・山口の「アベ友三兄弟疑惑」で浮き彫りになったのは、この政権が腐り切っているということだ。

10億円以上はする国有地が1億3400万円で払い下げられた。その理由は、払い下げを受けた学校法人が設立する小学校の名誉校長に安倍首相夫人=安倍昭恵氏が就任していたからだ。国と森友学園との間での土地払い下げ問題等の折衝は、安倍昭恵氏が安倍夫人付の国家公務員秘書に命じて行わせたと見られている。

財務省は安倍首相案件であるから、違法性のある激安価格で国有地を払い下げた。国に巨大な損害を与えている疑いが濃厚で、「背任」の罪が問われる必要がある。安倍首相夫人に5人もの公務員秘書が配属されていたことも権力の濫用にあたると考えられる。

加計学園が獣医学部の新設を認められた事案も、完全なる政治私物化事案である。京都産業大学を排除して加計学園だけに獣医学部新設を認めたのは、行政の公平、公正の大原則に完全に反している。安倍首相が「腹心(ばくしん)の友」だと公言する加計孝太郎氏が経営する加計学園に、安倍首相が権力を濫用して、利益供与、便宜供与を行ったとの疑いが極めて濃厚である。

安倍首相よいしょの著作物を刊行してきた元TBSワシントン支局長の山口敬之氏の準強姦容疑での逮捕状が発付されながら、菅義偉官房長官の元秘書官を務めた中村格警視庁刑事部長(当時)が、その逮捕状を握り潰し、山口氏を無罪放免にした。

これ以上の政治私物化、権力私物化はない。このような政治私物化、権力私物化の事実が次々に明らかにされてきた。この現実に主権者が怒っている。その主権者の怒りは、その内容だけにとどまらない。

このような不祥事が一気に噴出するなかで、安倍首相が「逃げの一手」に徹して、主権者に対する説明責任を果たさない。果たさないどころか、説明責任を放棄して逃げまくっているのだ。

安倍首相の、この卑劣な、卑怯極まりない姿勢に、主権者国民が怒っているのだ。この怒りは簡単には収まらない。それにもかかわらず、安倍首相は国会を召集して、主権者国民が納得し切るまで、説明責任を完全に果たすとの意思を示さない。

閉会中審査を自分の外遊中に設営させるなど、「逃げの一手」に徹しているのだ。完全なる「失脚パターン」に入っている。事態を打開するには、説明責任を150%、200%果たすしかない。

その判断すら持つことができず、逃げ切りを図ろうとしているところに、安倍首相の器量の小ささが表れており、政権崩壊を免れない根本原因がある。安倍政権崩壊を大前提に置いて、今後の戦略、戦術を構築する必要がある。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。