民進党は解体して安倍応援団と反安倍陣営に分割するべき -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

***

民進党迷走の主因は政策方針の迷走にある。進路を誤らせた主犯は菅直人氏と野田佳彦氏である。

2009年に成就した政権交代の偉業がわずか8ヵ月で破壊された。破壊を主導したのが民主党悪徳10人衆である。渡部恒三、藤井裕久、仙谷由人、菅直人、岡田克也、野田佳彦、前原誠司、枝野幸男、安住淳、玄葉光一郎の10名である。この10名が軸になって民主党政権を破壊した。

その延長上に、現在の民進党の凋落がある。完全な連続線上の凋落である。問題は民主党が基本政策をすべて転覆したことだ。

2009年に樹立された鳩山由紀夫政権は、画期的な三つの方針を明示した。対米隷属からの脱却、官僚支配の打破、大資本による政治支配の根絶である。具体的には普天間の県外・国外移設方針、天下りの根絶、企業団体献金の全面禁止の方針を明示したのである。

ところが、鳩山政権が普天間の県外・国外移設方針を維持し切れなくなって総辞職に追い込まれた。

この機に乗じて権力を強奪したのが菅直人氏である。菅直人氏は鳩山政権が明示した基本方針をすべて破棄した。鳩山首相が、対米隷属からの脱却、官僚支配の打破、大資本による政治支配打破を目指したために既得権勢力の総攻撃を受けた。

これを横で見ていた菅直人氏は、すべての基本方針を独断で破棄、基本政策方針を転覆させてしまったのだ。新たな異本政策方針が対米隷属、官僚支配容認、大資本による政治支配に回帰したことは言うまでもない。

権力を強奪した菅直人氏は、その直後の2010年6月17日に開いた参院選マニフェスト発表会見で、突然、消費税率10%への引き上げ方針を提示した。民主的な党内手続きをまったく経ない、独断専行の暴走政策発表だった。民主党凋落、転落の最大の要因がこれだ。

民主党は2009年8月30日の総選挙に際して、「シロアリ退治なき消費税増税をやらない」ことを明示した。これをもっとも声高に訴えていたのが野田佳彦氏である。

この最重要公約を菅直人氏が独断専行で破棄した。そして、その方針を引き継ぎ、消費税増税の法律を2012年8月に強行制定したのが野田佳彦氏である。主権者に対するこの背信行為によって民主党は主権者の信頼を全面的に失い、2012年12月の総選挙で大敗する。その結果として誕生したのが第2次安倍政権である。

その流れを、そのまま引きずっているのが現在の民進党なのだ。民進党幹事長に野田佳彦氏が就任していることが、この現実を如実に示している。残念ながら、この民進党は主権者の信頼を完全に失っている。

東京都議会議員選挙における民進党獲得議席数5がこれを明白に物語っている。日本はいま歴史的な岐路に立たされている。原発、戦争、格差の各問題についての基本方針を定めなければならない。ところが、民進党の基本方針が定まらない。

原発を廃止するのか、推進するのか。日本を、戦争をする国にするのか、しないのか。格差拡大をさらに推進するのか、それとも是正するのか。この基本の基本がはっきりしないのだ。この状態で主権者に支持を求めても無理がある。

実態は、民進党のなかにまったく異なる2つの勢力が併存しているというものであろう。民進党は解体し、安倍応援団と反安倍陣営に分離・分割するべきだ。その起点になるのが7月25日の民進党両院議員懇談会である。

植草一秀の公式ブログ『知られざる真実』はコチラ

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.
植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。