キンコン西野「素人が考えた斬新さ」はプロにとってはただの迷惑


西野亮廣[キングコング/漫才をする絵本作家]

***

90分〜100分の一人喋りのライブをデビュー当時から、月に2〜3度ほど続けておりまして、たぶん、お喋りは上手な方だと思います。

早い話、普通に音響を整えていただいて、普通に照明を整えていただいて、普通に90分間、マイクを渡していただければ、120%お客さんを満足させる自信があるのだけれど、素人さんに主催を委ねると、「普通」をやらずに(やれずに)、不思議な演出や、変なコーナーを挟んだりして、その分、お喋りの時間が削られ、客席は「主催者のエゴ、要らねーから」という空気で包まれる。

「どうですか、斬新でしょ?」

と、そのまま食べれば美味しい新鮮な魚に、大量のケチャップをかけるようなことをしてしまう。「手を加えること」を《やりがい》としてしまいがち。

【参考】キンコン西野「居酒屋で愚痴を言うぐらいなら会社を辞めろ」

ただ、主催者さんの「何かしたい!」という気持ちは、すごく良く分かる。「他とは違う」を出したくなる気持ちも、すごく良く分かる。

しかし、その代償として、プロの才能や時間、お客さんが求めているものを削っているわけだ。プロのお喋りを聞きに来ているお客さんは、「普通」にプロのお喋りが聞きたい。

先日の大阪公演は、素人の方(主婦)が開催してくださったんだけれど、「普通」にやらせてもらえた。普通にマイクを渡されて、普通に90分を委ねてくださった。

それは、お客さんが一番求めていたことで、とても嬉しかった。「普通」ができるのが一番スゴい。

楽しかったな、ホントに。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

西野亮廣

芸人吉本興業
西野亮廣(にしのあきひろ)お笑いタレント、俳優、絵本作家、漫才コンビ「キングコング」のツッコミ、ネタ作り担当。1980年、兵庫県出身。タレント活動と平行しつつ、2013年2月には、ニューヨークのトライベッカ「One Art Space」で初の海外絵本絵画展「Akihiro Nishino Solo Art Exhibition」を開催。同年11月には「TDW ART FAIR 2013」の「小川登美夫賞」「川崎健二賞」も受賞。著書に、「グッド・コマーシャル」「嫌われ西野、ニューヨークへ行く」「Dr.インクの星空キネマ」「ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス」「オルゴールワールド(原案:タモリ)」など。