<模倣は文化?>釜山で日本のテレビを覗き見する韓国のテレビマン


間宮武美[ライター]

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筆者は5年間、韓国ソウルで暮らしていた。そのため当時はNHKのBS1、BS2の放送しか見ることが出来なかった。BS1は国際ニュースとスポーツ中継、BS2は連続ドラマや情報番組をもっぱら楽しんでいた。

今にして思えば、日本のテレビ番組といえば、民放よりも十分な予算を掛け、十分な取材でしっかり制作したNHKの番組だけを見慣れていたことになる。

NHK-BS2の朝ドラも出社前の生活習慣として毎朝「おはよう日本」に続いて見ていたが、日本に帰国し、定年退職して生活が大きく変わったこともあり、ほとんど見なくなった。以前より自由になる時間が出来たが、安易な制作姿勢と視聴率を目指したタレント総出演の金太郎飴的な番組などに至っては、全くと言っていいほど見なくなった。

ところで、韓国の民放番組は改編時期になると企画者達が釜山に出張して、日本の民放番組を漏れ電波(スピルオーバー)で視聴し、それをヒントに企画書を書き番組制作をしている。そのためか、最近では日本で見るようなバラエティ番組が韓国でも増えた。

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特に島田紳介風の司会者や、ダウンタウン浜ちゃん風のタレントは当たり前。他にも、元シルム(相撲)上がりのカン・ホドンなどの素人で器用なキャラクターは、さながらボクサーあがりのガッツ石松を彷彿とさせる。セリフの吹き出し多用の演出も、日本の見よう見まねであろうが、不思議と自然に馴染んで見ている。

さてそんな中、最近、筆者が熱心に見ている日本のテレビ番組といえば、テレビ朝日系の「やすらぎの郷」だ。シルバー世代という新しい狙いのドラマがポストシニア層まで好評を得ているようだ。大御所と呼ばれる主役級の俳優さんたちが、それぞれ肩を並べて出演している点もすごい。

もちろん、韓国のテレビ企画者たちは、すぐに釜山のホテルで漏れ電波から「やすらぎの郷」をのぞき見するはずだ。そして、しばらくしたら日本のシルバー向けの番組(つまり「やすらぎの郷」)に似たドラマが流れるように思う。模倣の文化はすぐそこにあるのだから。

 

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メディアゴン 編集部

メディアゴン編集部(めでぃあごんへんしゅうぶ)2014年5月末日、東京生まれ。メディア批評・メディア評論に特化したメディア専門家によるメディアニュースサイト。キー局プロデューサー、ディレクター、イベントプロデューサー、放送作家、大学教授、評論家、ゲーム作家、弁護士・・・などなど、メディアの第一線で活躍する人材が活動中。