<衆院選の争点>自公与党勢力の過半数維持で消費税増税 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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この選挙で自公の与党勢力が過半数を維持すると消費税増税が実行される。野党が結束しなければならないときに、野党が分断された。

そもそも、民進党が消費税増税を主張していたことが大きな間違いである。これまでのお流れを踏まえれば、民進党のなかの「隠れ自公勢力」が民進党を離れて自公勢力の側に合流すれば良いだけであった。つまり、民進党の「水と油」を分離することが必要であった。その上で、共産党を含む強固な野党共闘を構築することが必要であった。

野党共闘の基軸は、戦争法制の廃止と立憲主義の回復であった。前原氏は民進党内の民主的な論議、民主的な手続きを踏まずに小池国政新党への許されざる合流に突き進んだ。

「許されざる合流」という意味は「安倍政治打倒」を旗印に、民進党を丸ごと「呉越同舟」で合流することを進めずに、小池百合子氏の提示する戦争法制肯定、憲法改定を「踏み絵」に使い、これまでの野党共闘路線を独断専行で廃棄しようとしたからである。この結果として、これまでの野党共闘勢力が分離して、選挙が三極の構造になった。

野党共闘勢力にもう少しの時間があれば、より強固な野党共闘体制を構築できたであろうが、時間的な制約から、十分な野党共闘体制を構築できないまま総選挙に突入することになった。

それでも、民進党から分離・独立した立憲民主党が短期間に支持を拡大していることは唯一の望ましい変化である。民進党が主権者の支持を回復するには、民進党の分離・分割が必要不可欠であった。それがようやく進行したわけだが、まだ油断はできない。

今回選挙で無所属で立候補した候補者の一部が、選挙後にこの党に接近して、この党の実権を横取りする可能性があるからだ。だから、今後の変化には十分な警戒が必要である。

そして、民進党が分離・分割されて生まれた、もうひとつの副産物は、希望も立憲民主党も2019年10月の消費税増税に反対の立場を表明したことだ。これは正しいことだが、遅きに失した面もある。今回の総選挙で最重要の経済政策問題は消費税増税である。

このまま自公勢力が過半数を維持すると、2019年10月に消費税が10%に引き上げられる。この消費税増税が日本経済を破壊してしまうことを警戒しなければならなくなる。この問題はアベノミクスの評価に直結する問題である。

安倍政権は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた。そして、この消費税増税で日本経済は深刻な景気後退に転落しているのである。安倍政権がいま、「いざなぎ景気を超えた」と叫んでいるのは、実はこの歴史事実を隠蔽するためのものなのである。

完全なる虚偽情報、フェイク情報である。安倍政権は大本営情報を流布しているのである。鉱工業生産統計は日本経済が2014年1月をピークに2016年5月まで、2年半も景気後退を続けたことをはっきりと示している。「いざなぎ超え」というのはまったくの虚偽情報で、今回の景気は「いかさま景気」でしかない。

消費税が導入されたのは1989年度である。この年度の国税収入は54.9兆円。そして、27年後の2016年度の国税収入は55.5兆円である。日本の国税収入は27年前とまったく変わっていない。変わったのは税収の内訳である。

この27年間で変化したのは、法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減り、消費税が14兆円増えたことだけなのだ。この消費税が個人消費を厳しく抑制する。2014年以来の日本経済は「消費不況」なのだ。2019年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、日本経済は確実に奈落の底に落ちる。

これを決めるのが今回の総選挙なのだ。これを防ぐ方法はひとつしかない。この総選挙に、すべての主権者が参加して、自公候補を落選させるように、清き一票を投じることだ。投票率が上がり、消費税増税を阻止するための投票が激増すれば選挙結果が激変する。このことに全力を挙げなければならない。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。