<帯番組成功の条件?>30年で17の帯番組に関わってきた経験から制作者に伝えたい7項目


高橋秀樹[放送作家]

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筆者はもう還暦も近いので、机の中を整理していたら「帯番組成功の必要条件に関する私見」という文書が出てきた。10年ほど前の日付が記されていたが、読んでみると内容は今の考えと左程変わらない。加筆して、ここに公開することににした。

帯番組の定義は「同じタイトルを持っており、月曜日から金曜日の同じ時間帯に放送される番組」である。通常生放送だ。
今、最も勢いのある帯番組はNHKの「あさイチ」である。

まず、筆者の帯番組との関わりを述べておく。(カッコ)の中は放送作家やブレーンとして筆者が携わった期間である。

情報制作局などと呼ばれるワイドショウ制作班の番組は以下である。

  • 『WAVE[TBS]』(半年で終了)
  • 『おはようクジラ[TBS]』(立ち上げ時1年のみ参加)
  • 『ウォッチ! [TBS]』(2年完走)
  • 『みのもんたの朝ズバッ![TBS]』(9年完走)
  • 『あさチャン![TBS]』(半年で解雇)
  • 『2時ピタッ! [TBS]』(半年で終了)
  • 『ピンポン! [TBS]』(2年半完走)
  • スーパー知恵MON』〈7ヶ月で打ち切り)
  • 『おはよう!グッデイ[TBS]』(1年完走)
  • 『情報!もぎたてサラダ[TBS]』(1年完走)
  • 『ジャスト[TBS]』(5年半完走)
  • 『はなまるマーケット[TBS]』(15年で解雇)
  • 制作局いわゆるバラエティ班が作った番組。
  • 『笑っている場合ですよ[フジテレビ]』(2年完走)
  • 『笑っていいとも[フジテレビ]』(1年のみ参加)
  • 『いただきます』→『ごきげんよう[フジテレビ]』(4年のみ部分参加)

報道局が作った番組は以下。

  • 『イブニングワイド[TBS]』(立ち上げ時1年のみ参加)
  • 『Nスタ[TBS]』(立ち上げ時1年のみ参加)

筆者は本来コント作家であるが、時代の流れに流されて、延べにすると30年と半年で総計17の帯番組に関わっていたのである。ナンパなもの、硬派なもの、中継もの、ニュースは扱わないもの、様々な要望に応えてテレビ職人として番組を作ってきた。

17番組中成功は7番組とさせていただく。打率およそ4割1分。解雇されている場合の理由はほとんどプロデューサーが変わったからである。僕の方から辞めたいと言った番組はひとつもない。

「帯(ベルト)番組成功の必要条件に関する私見」には、次のような但し書きが付いている。

「これは単なる必要条件で、こうすれば、絶対成功するという必要十分条件ではないのはもちろんである。そんなものは誰も知らない。」

[第1項]番組には(世帯主に当たる)たった一人の主人が必要である

この主人になる資格を持っているのは番組の全体内容に責任を持つプロデューサー、あるいはプロデューサー圧倒的に凌ぐ演出力を持っているチーフディレクターである。残念ながら外部プロダクションの者には資格がなくTV局の正社員でなければならない。

まれに出演者が主人という番組があるが、その場合は制作スタッフ全員が出演者を尊敬しているという条件が必要である。しかも、その出演者は制作側にとってコントローラブルでなければならない。主人をコントロールできるかどうかは出演者とスタッフが信頼感で結ばれているかどうかである。

主人は、傍若無人でなければならない。人から嫌われることを苦にするようではならない。ただし、時々、スタッフに弱みも見せられる人物でなければならない。あだ名で呼ばれる存在になれば、なお良い。よって、主人は孤独である。スタッフの中に孤独を受け止めてくれる腹心が必要である。

番組のコンセプトは突き詰めれば、主人の頭の中にしかないが、主人はそれをできるだけわかりやすい(スタッフが具体的に動けるような)言葉にしなければならない。『美しい日本』のようなコンセプトはありえない。

主人がいない番組もじつは多い。外部の派遣ディレクターはぐるっとあたりを見回して、番組に主人がいないと感じたら、いち早く、難破船のネズミになるべきである

[第2項]番組の成否の70%はメインの出演者で決まる

僕が関わった番組では、岡江久美子、薬丸裕英、みのもんた、三雲孝江、小堺一機と言った人たちである。この人達が十分なギャラを貰っているのは、彼ら彼女らの活躍でスタッフが楽できる部分を与えてくれるからである。

出演者とスタッフが互いに、「ああやってもらって、あそこは助かった」と言い合えるような関係が理想である。時に「同じタイトルの番組で、違う人が日替わりでメインを務める」という形式があるが、これは、ほとんどが一人で続けるメイン出演者をキャスティングできなかった結果が反映しているのであって、その形式で成功した番組を、筆者は知らない。

[第3項]積極視聴と消極視聴

テレビを見る人に対し、「これは面白いから観ろ」(積極視聴)という作り方と「見ていても嫌な感じがしないから観て下さい」(消極視聴)という作り方と、どちらにするか。明確にしなければならない。前者は太く短い番組、後者は細く長い。後者の番組作りには1年の猶予がほしい。後者でも丁寧にそこを目指せば(昔なら10%)8%は取れる番組に成長する。

[第4項]何も準備しないで番組にやってくる演者は排除せねばならない

「テレビに写っていて、流れで喋れば私の役目は果たされている」と考えるテレビをなめている演者はすぐさま排除すべきである。演者として必要なのはたった2種類しかない。「仕切ることで存在価値のある人」「そこにある、ことで存在価値のある人」それ以外はいらない。

以下、5、6、7と以下のように続いている。

[第5項]いつでも主人に取って代わろうという虎視眈々のスタッフにコーナーを仕切らせる

[第6項]コーナーの積み重ねで番組ができると考えてはならない。2時間なら2時間。縦に番組を仕切る権限を持つディレクターが存在するべきである。

[第7項]進行表は必要だが、セリフを書き込んだ台本があるのは、本来、馬鹿げている。

 

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