<「地方創生法案」って何?>毒にも薬にもならない法案で地方予算増効果はたった1.3%


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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10月15日、「地方創生2法案」が国会で審議入りした。今臨時国会の目玉法案らしい。

地方創生2法案とは、

  1. 「まち・ひと・しごと創生法案」
  2. 「地域再生法の一部を改正する法律案」

の2法案のこと。法律案の条文なんて読みたくない人は、以下を参照されたい。(出典:内閣官房)

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この2法案が国会に提出されるに当たって、政府・与党内で揉めた形跡は全くない。そういう法案は、成立して施行されたとしても、毒にも薬にもならない。既得権益が奪われたり、新規利権が発生したりすることが想定されていないからだ。

もっとも、既得権益を破壊し、新規利権を創ることが、必ずしも善いとは限らない。当面守るべき既得権益も数多ある。むしろ、その方が多いとすら思える。だがこの2法案には、新しい利権を創る具体策があまりにも無さ過ぎる。これでは、ワクワク感はぜんぜん湧いてこない。

敢えて言うならば、「まち・ひと・しごと創生法案」は施行後5年以内の見直し、地域再生法の一部を改正する法律案は施行後1年以内の見直しが予定されている。これは必ず実施される。

しかし、「まち・ひと・しごと創生法案」について施行後5年で見直しの検討をするとなれば、同法案の提出理由である『我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していく』ことが、5年後まで先送りされることに他ならない。

与党議員の全ての選挙区の地元地域におカネをばらまいても、事態は好転しないであろうことは、誰しも感じていることだろう。

日本は、少子高齢社会に入り始めている。当面の人口減が確実に想定される中では、人口集中によって税金投入の費用対効果を向上させるように思い切った手を打っていくべきだ。例えば、道州制で想定される州都を中心に、各地域ごとに中核都市を指定し、そこへの人口集中を10〜20年計画で誘導するような施策を実行していくべきだ。

ちなみに、来年度予算で地方自治体向けに新たな交付金を創設(初年度2000億円、5年間で1兆円)するとの方針が伝わってきている。これは単純に地方交付税交付金の増額をすれば良いのだが、その来年度要求額が16兆円であることを考えると、単純計算ベースで各自治体に1.3%程度(=2000億円/16兆円)の増額効果しかないことになる。

これでは、期待しろ!と言われても無理がある。

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。