<メディアの世界はダイエットに似ている>アナウンサーには努力を続けられる意思が必要

社会・メディア

吉田映一郎[株式会社キャスト・プラス]

ランニング歴が15年になる。きっかけは、担当番組だった。年越しの長時間テレビ、ということで視聴者が参加できるイベントを企画した。 題して「2000年までの誓い」。1998年から99年への年またぎだったので、これからの1年、一つの誓いを立ててみましょう、というものだ。生放送の会場に来れば、「誓い」を書いた紙を缶詰にして差し上げるという、大げさなものだった。

この番組の責任者だった私は、自分も心の中で「誓い」を立てた。「2000年までにフルマラソンを走る」という訳で、放送終了翌日の正月2日から走り始め、3か月後には「誓い」を果たしたのだが、その後もランニングがほぼ日課となったのは、ダイエットにつながったからかもしれない。

とは言え、最初の2か月は、いくら走ってもまったく体重計の数字に変化は無い。ところが、3か月目からは、毎月3~4㎏ずつグングン体重が落ちてゆくのだ、面白いように。結局、半年で14㎏の減量に成功した。おそらく体質が変わるまでに時間がかかるからだろうが、多くの人がダイエットに失敗する理由が分かった気がした。

どんなダイエット法にしても2か月一生懸命に取り組んで効果が出なかったらがっかりするし、自分に合っていないと思うだろう。だから挫折してしまうのだ。でも、実はその挫折のほんの少し先に結果が待っていたのかもしれない、いやきっと光りがあったのだ。

今の私は、アナウンサーを中心にしたタレントのサポートをする立場だが、 しゃべりを仕事にしようとすれば、発声など日々の地道な訓練が重要だ。しかし、その努力がすぐに結果につながることは無い。くじけそうになる 気持ちを奮い立たせて「ア、エ、イ、ウ、エ、オ、ア、オ…」と繰り返しているのだろう。でも私は知っている。そうした努力を続けた者は、半年後、 1年後にレギュラー出演などの大きな仕事を勝ち取っていることを。

メディアの世界を志す人たちにぜひこの業界の楽しさを知って欲しい、 味わって欲しい。でもそのためには、つらいだろうけれど地道な努力を怠らないでください。

【あわせて読みたい】