<『妖怪ウォッチ』と『ポケモン』の違い>『妖怪ウォッチ』は世代を超えたコンテンツになれるか?


八坂亮[ゲームクリエイター]

***

先日、都内の某ファーストフード店で食事をとっていると、ある事に気がついた。店内のそこかしこに「妖怪」がいるのだ。

といっても勿論、「本物の妖怪」ではない。現在、子ども達の間で大ブームを巻き起こしている『妖怪ウォッチ』の妖怪だ。どうやら、このお店では、来年に向けて『妖怪ウォッチ』のキャラクターを使ったカレンダーを販売するようで、その告知で店内装飾を妖怪一色にしているとのことだ。

実は、このファーストフード店は去年まで10年以上もの間、『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)のカレンダーを販売してきた。10年以上続いた『ポケモン』とのコラボを解消し、『妖怪ウォッチ』に切り替わるという事は、世間の子ども達の主役の座を『妖怪ウォッチ』が『ポケモン』から奪い取った事実を如実に示しているといる。

とはいえ、これで『ポケモン』がフェードアウトしてしまうかというとそうではない。『ポケモン』には時間をかけて培ってきた 強みがあるからだ。

『ポケモン』のメインターゲットは小学生ぐらいの子どもと思われがちだが、実はそこだけではない。大学生や20代の社会人、つまり「ポケモンで育った世代」もターゲットになっている。事実、最近の『ポケモン』のプロモーションを見ていると、20代の男女の感想を映像にしたCMの展開や、昔のポケモンと今のポケモンの比較映像をWebで公開し、記憶の呼び戻しを狙ったような「子どもの物だけではない」事のアピールが多い。内容も極端な子どもっぽさは無く、大人でも抵抗なく入れるよう配慮されている。

これらの結果として、大人のプレイヤーが多い事がデータにも出ている。これこそ、1996年に登場してから長い年月をかけてコンテンツを展開し続けてきたポケモンならではの強みだ。

現在にいたるまで、ここ20年程の子どもの大半は『ポケモン』を経験してきており、この子ども達が大人になってもそのまま同じように遊ぶ可能性を十分に秘めている。

それに対して、『妖怪ウォッチ』はどうか。玩具の展開も含めて子どもだけをターゲットにしたコンテンツであり、大人も一緒に楽しめる内容にはなっていない。元々、子どもをメインターゲットに据えて展開したコンテンツであるため、大人が楽しめるかどうかはあまり重要ではない。その意味では、子ども達の人気に火がついている現状で十分に大成功と言える。

しかし、現在の『ポケモン』と同じように、「妖怪ウォッチと一緒に育った世代」を生み出し、長く息の続くコンテンツにしてゆく為には幅広い年代に楽しまれる内容へと変化させてゆく必要があるのでないだろうか。

『ポケモン』が展開当初から大人を巻き込んで遊べる物だったか?といわれれば、決してそうではなかったはずだ。ここまで述べてきたように、長い年月をかけて人々の心に根付いたコンテンツになったという表現が適切か。

まだまだ始まったばかりの『妖怪ウォッチ』が歴史を積み上げていく中でどういう存在になるのか楽しみである。

 

【あわせて読みたい】

The following two tabs change content below.

八坂亮

八坂亮(やさか・りょう) ゲームクリエイター 1986年、大分県生まれ。大手ゲームメイカーにて、家庭用のゲームソフト開発を行う傍ら、『らくがきラボ』名義でスマホ向けゲームも開発にも従事。一人でも多く人に「ゲームが楽しい」と感じてもらえるよう日々精力的に活動中。