<決定版・欽ちゃんインタビュー>萩本欽一の財産(26)「番組を当てようと思った時は他のことをしては駄目だ」

エンタメ・芸能

高橋秀樹[放送作家]
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大将(萩本欽一)は言う。

「番組を当てようと思った時は他のことをしては駄目だ」

「全部ってたとえば何ですか」

と、僕。

「俺の仕事は番組づくりだから、仕事以外の他のことには一切運を使わない。家族、健康、金、ギャンブル、車買う、家買う、恋愛、全部に運使っちゃダメ」
「俺の周囲の人にも仕事だけに運使って欲しい」

これは、大将の変わらぬゲン担ぎだ。スタッフも結婚とかは、こっそりする。
『欽ドン!』『欽どこ』と、他局に30%番組が誕生して、TBSも、欽ちゃんモノをやりたがっていた。

「その時ね、俺はすごく忙しかった。マネジャーの佐藤(宏榮=佐藤企画社長)に聞いたらスケジュールもないって言うし、やりたくなかった。でもせっかく頼みに来てくれた長谷部(務=プロデューサー)さんに、嫌だっていうのもなんだから、絶対飲めない条件出したの、金曜9時ならやりますって」

TBSの金曜9時といえば、1960年代後半から1970年代前半にかけて宇津井健主演の「ザ・ガードマン」、「シークレット部隊」「燃える兄弟」と続き、1970年代に入ってからは宇津井健、山口百恵、三浦友和らが出演した「赤いシリーズ」を中心とした、大映テレビ制作のドラマがこの枠で放送されたり、田宮二郎主演の白いシリーズなどが放映されたバリバリのドラマ枠である。

「長谷部さんは、真っ赤な顔になってねえ、その枠はムリだと思いますって言って局に帰った。ところがどうした具合か調整出来ちゃった。長谷部さんが枠取れましたって、やってきたから、こちらは困ってねえ、ホントの事、言うしかないって、やりたくないんです、無しにしてくださいってお願いした」
「そしたら次に増井(昭太郎=チーフディレクター)ちゃんが来てね、僕の前に仁王立ちみたいに立ってこう言うんだ」

増井「僕が十年前大将の番組に配属された時、大将なんて言ったか覚えてますか。お前は東大でてTBSにドラマやりたくて入ったんじゃないのかって聞きました、その時に僕はドラマのTBSでバラエティがやりたいんですって答えました、その時、大将は増井、お前いいな。やるよ、お前とならやるよ、っておっしゃいました。あれは嘘だったんですか大将」

「もうやるしかないよね。しかも上手に。ただ、3本めの『週刊欽曜日』は、やり方がわかっていた『欽ドン』と『欽どこ』のエッセンスを調味料みたいに使えばいいかって思ってた。後は動きを入れたかったんだけど、この動きのギャグは動けて笑いがとれてっていう両方できる人はなかなかいないんだよね、結局最後まで完成しなかった」

 
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