<原発停止で電気料金値上げ>停止中の東北電力・女川原子力発電所に行ってみた


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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現在停止中の東北電力・女川原子力発電所の設備容量は、1号機52.4万kW、2号機82.5万kW、3号機82.5万kWの計217.4万kW。これで、ほぼ宮城県全体(人口233万人)の電気を賄うことができる。筆者は、そんな女川原発に先日、直接行ってみた。(以下、ちょっとして記録映像も)

2011年3月の東日本大震災以降、女川原発を含めて日本国内の全ての原発が停止し続けている。以前の記事(原発停止で北海道民のお金が「1日6億円」も海外流出)でも書いたが、原発を停止すると、その分を火力発電で代替しなければならない。原発停止が長引くと火力に必要な追加的な燃料費や購入電力料が巨額になる。だから、電気料金を値上げせざるを得なくなる。

(訪問時の記録映像)

東北電力でも、女川原発1~3号機(計217.4万kW)、東通1号機(110万kW)の全4基の原発が止まり続けている。その結果、2013年9月1日に家庭用で8.94%、産業用で15.24%の値上げを実施した。

この値上げ分は予定外の出費。いったいどのくらいの金額か、公開資料を素に試算してみたいと思う。

震災前2010年度の燃料費等と、前回値上げ認可時の原価(算定期間:2013~15年度)の燃料費等を比較する。その金額の差(追加燃料費等)を、女川・東通の年間稼働日数(365日×稼働率)で割ることで、1日当たりの追加燃料費が算定される。

1年間の追加燃料費等  =2013~15年度平均の燃料費等 - 2010年度の燃料費等

             =約8,625億円 - 約7,112億円 = 約1,513億円

1日当たりの追加燃料費等=1年間の追加燃料費等 ÷(365日×稼働率)
             = 約1,513億円÷(365日×(女川65.6%×217.4万kW+東通85.1%
                  ×110万kW)÷(217.4万kW+110万kW)) 

             = 約5.75億円/日

これは、東北電力の需要家のお金が「1日6億円」も予定外に海外の資源国に流出していることに他ならない。

政府は、こんなことをいつまで続ける気なのだろうか?安倍政権は、原子力規制委員会の規制運用を早期に改善し、一刻も早い発電再開を容認すべきだ。筆者が試算したところでは、女川・東通の全4基を米国並みの高稼働率で稼働させると、年間で約2700億円の利益増効果を見込める。

こうした収益で、料金値下げや更なる安全対策への投資も含めた電力会社の体質改善のほか、再生可能エネルギーの振興にも充てることができる。

[参照資料]女川・東通の設備利用率(http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/data/3_c.html)/東北電力の燃料費(http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/__icsFiles/afieldfile/2013/08/06/130806_gaiyou.pdf)

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。