<ライバルなき時代の真剣勝負>NHK紅白歌合戦「聖子VS明菜」はなぜ注目されるのか?


岩崎未都里[ブロガー]

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「中森明菜、NHK紅白歌合戦から出演オファー」のニュースを聞いたとき、筆者は生まれて初めて「最初から最後まで紅白を生放送でシッカリみたい」と心底思いました。

幼少期から我が家の過ごす年末は、父にNHK紅白歌合戦にチャンネルを合わせられ、ジャニーズに始まり都はるみさん、石川小百合さん、最後は北島三郎さんで締め。そのあと「ゆくとしくるとし」の善光寺で除夜の鐘を聞く。それが定番でした。

テレビから流れる紅白歌合戦の楽曲は最早BGMと化して、年越し蕎麦をメインに元旦おせちの補充用の品々をつまみ食いしながら、好きなアイドルが歌うときだけテレビ画面を観る、といった一般的な日本の家庭でした。

しかし、今年の「松田聖子、紅白の大トリに!」というニュース。紅白をBGM化している多くの人たちも、これには俄然、興味をもったのではないでしょうか。松田聖子さんは名実共に大御所ですから、今年の反響次第では、これからの「紅白大トリ」を長く続けてゆくことになるかもしれません。メディアゴンの水留氏記事(<トップアイドル時代を知る人物が予想してみた>NHK紅白歌合戦の大トリで松田聖子は何を歌うのか?)にもあるように、「赤いスイートピー」「瑠璃色の地球」などのヒット曲もさることながら、大穴として、娘・神田沙也加さんとの「アナ雪」も、松田聖子さんならあり得るなと、思ってしまいます。

そして、そんな中に更に飛び込んできたのが、「明菜出演か?!」のニュースです。

筆者はその途端、どうしても、今年の紅白歌合戦をBGMではなく、生放送でしっかりと観たくなってしまいました。「聖子が今年の紅白大トリ!」だけでそこまで関心はわかなかったでしょうし、「明菜、4年ぶり紅白で復帰!」だけでも、紅白BGM化は避けられなかったと思います。しかし、「あのライバル二人」となると、話は違います。

むしろ、紅白が終了し、0時を過ぎたら、「聖子と明菜の軌跡」などの特番を組んで放送すれば、紅白後もチャンネルを変えないのに、と勝手な想像までしてしまいます。

これは、筆者だけが反応してるのか? と思い周囲に聞いてみましたが、若い女性のほぼ100%が「紅白の聖子と明菜を観たい!」という反応。驚いたことに、10代の中・高校生までもが「観たい」と言うのです。昭和のアイドルバトルを現役中・高校生までもが観たいとは、一体なぜなのでしょうか?

筆者は次のように推察しています。

現役中・高校生は「なんでも平等」が方針の世代です、運動会では競争せずに手をつないで、一斉にゴール・・・なんていう冗談のような話も一時期話題になりました。テスト結果を点数順に廊下に張り付けることなどあり得ない。自然と周りを蹴落としてでも勝ち抜く競争という文化はなくなってゆき、競争や勝負などと接しない日々が常識となってしまっています。

もちろん、アイドルの在り方も変わりました。AKBなど総勢48名が仲良く頑張り、ファン達は彼女達全員を応援します。全員応援しながら、その大勢の女の子の中から自分の好きなアイドルを選択するわけです。ここに80年代アイドルのような「ライバル」なるものはありません。言い方を変えれば「皆が優しいライバル」でしょうか。今は「ライバル」という言葉を聞くことも少なくなり、ましてや1対1のガチの真剣勝負などは皆無です。

そんな中、聖子と明菜という「ライバルが戦う真剣勝負の姿」。今の中・高校生にとっては、これまで自分たちが知っているアイドル像にはない「新鮮さ」かもしれません。

「松田聖子VS中森明菜」の闘いは誰が仕掛けたわけでなもく、自然と生まれた「ライバル」関係です。聖子さんが陽なら明菜さんは陰。見事に鮮明なコントラストのある歌手人生を送る二人。

松田聖子さんは優等生のイメージが強く、完璧な「松田聖子」像を崩さない。結婚もして娘の神田沙也加さんもいます。30年に渡り「完璧な松田聖子」のスタンスを崩さずにきました。それに対して中森明菜さんは所謂「不良」のイメージ。曲調も聖子さんの個性の真反対をいきます。実生活では、結婚もせず、最近は体調を崩し暫く休業していました。

こんなドラマチックなライバル関係を見せつけられれば、当時を知らない今の中高生だって、関心を持ってしまいますよね。

今、筆者は会う人会う人に「聖子と明菜どっち派?」と聞きながら、紅白が始まるのを今か今かと待っています。

 

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岩崎未都里

岩崎未都里(いわさき・みどり) 11歳より芸能事務所所属。多摩美術大学美術学部映像学科卒。学芸員。英国留学やバックパッカーの経験を通して、32カ国を渡り歩く。その間、パニック障害を完治させた。SJS症候群により九死に一生を得て、現在は闘病しながら あらためて医療心理学を学んでいる。