<ドキュメンタリーコントって何だ?>「中居正広の限界」と「ナイナイ岡村隆史のすごさ」が垣間見えた『めちゃ×2イケてる』


高橋維新[弁護士]

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以前、メディアゴンの記事でも簡単に触れたが、「めちゃ×2イケてるッ!」(以下「めちゃイケ」)における中居・ナイナイの日本一周という企画は、企画の体を装ったコントである。

一番最後に「この企画はフィクションです」と出てくることからも分かるだろうが、デキの悪いスタッフや真面目すぎるナイナイ(という設定)のせいで、「中居くんを楽しませる」という本来の企画趣旨が達成できずに、中居くんがひどい目に遭い続けるというドキュメンタリーコントである。

今回でもう10回目ということなので、そのことはもう大体の視聴者には分かっている。たまに狂信的な中居くんファンに分かっていない人がいるが、それはごく一部の例外であって、ほとんどの視聴者(狂信的でないレベルの中居くんファンも含む)には中居くんがひどい目に遭うのは予定調和であるというのが見抜かれているのである。

「めちゃイケ」が多用するドキュメンタリーコントという手法は、不意打ち・奇襲による笑いを重視して、普通の企画の体のまま様々なハプニングを発生させ、それをそのまま放映するというコンセプトなのであるが、そのコンセプト自体がお茶の間にバレているため、もう全く手法自体の妙味が失われているのである。

今回それを打破しようとして「めちゃイケ」が用意したのが、普段の「ナイナイが中居を日本一周に招待してもてなす」という構図を逆転させて、中居がナイナイをもてなすという形にしたことである。

でも、これまでの日本一周を見てきている視聴者からすれば、「どうせ中居の目論見は失敗して最後には中居がひどい目に遭うんだろうな」というのが容易に想像できる。

そして、番組自体はこの想像から一歩も外に出ることがなかった。その割にナイナイもちょいちょいひどい目に遭っていたので、コンセプト自体がぼやけて何がやりたいのかよく分からない状態に陥っただけであった。演出上は成功とは言えないだろう。

あと今回のを見て分かったことが、岡村の巧さと演技力の高さである。岡村は、「ナイナイが真面目すぎて中居くんがひどい目に遭う」というドキュメンタリーコントをやる際にも、「真面目すぎる自分」を演じ切ることができる。

中居くんをひどい目に遭わせてやろうという下心が読み取れないほどに演じ切ることができるので、視聴者に奇襲の妙味を存分に味わわせることができる。視聴者からすれば、真面目さが空回りして中居くんがひどい目に遭っているようにしか見えないのである。

ところが中居くんは、わざとやっているのかどうなのかは確実なことが言えないが、ナイナイの二人をひどい目に遭わせてやろうという下心が透けて見えていた。スケスケであった。冒頭の借金取りの部分からして、いつもの岡村や、本職の白竜とは異なり、借金取りにきたヤクザの子分を演じ切れていなかった。あそこはただただ真面目に借金取りの役目を果たそうとすることで初めておもしろくなるコントである。つまり、冒頭での設定フリに甘さがあったのである。

演者は、無心で借金をとろうとしなければならない。借金自体がほとんど言いがかりなので、それを真面目にとろうとしているというところにズレが生まれて、笑いが生じるのである。

しかし、中居くんは、全体的に「俺、おもしろいだろう」という弛緩にまみれており、岡村や白竜のような無心さがなかった。なんならいつもの矢部よりヘタだったぐらいである。繰り返すが、アイドルがチンピラの恰好をしているからおもしろいというような単純な話ではなく、言いがかりの借金を真面目にとろうとしているからおもしろいのである。

だから、日本一周におけるダラけた進行も、多分わざとやっていたわけではなくて、あれが中居くんの限界なのだろう。だったら、まだひどい目に遭わせてやった方がアイドルという身分を活かせるというものである。

まとめると、中居くんの限界と岡村のすごさが垣間見えたのが今回の収穫であった。うん。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。