<太陽光発電を設置している住宅はわずか3%>120~200万円の導入費用を負担できる所得層は一握り


石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

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2月24日昼過ぎ。中央マスコミ各社の報道は、「太陽光発電の買取価格の引下げ」のオンパレードだった。

  • 時事通信ネット記事:住宅用太陽光、33円に下げ=15年度の買い取り価格-経産省
  • 読売新聞ネット記事:太陽光発電買い取り、3年連続引き下げ…算定委
  • 日本経済新聞ネット記事:再生エネ、太陽光に北風 買い取り価格を3年連続下げ
  • 産経新聞ネット記事:太陽光、3年連続下げで事業用30円割る 経産省委員会が再生エネの買い取り価格見直し
  • 毎日新聞ネット記事:再生エネ買い取り:15年度価格案 事業用太陽光20円台
  • 東京新聞ネット記事(共同):太陽光発電価格、3年連続下げ 企業は29円、家庭は33円
  • NHKニュースWEB:太陽光発電買い取り価格 3年連続引き下げへ
  • 朝日新聞ネット記事:太陽光買い取り、事業用は27円に 3年連続引き下げ

これらの記事にあるように、経済産業省は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に基づく2015年度の買取価格案を公表した。とにかく、再エネ5種(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)のうち、太陽光に対するマスコミの関心の大きさがわかる。

太陽光は、我々一般庶民に最も近い再エネだ。自宅の屋根やベランダに太陽光パネルを設置して、部屋に電線を引き込めば、天候さえ好ければ自家用の電気になる。電力会社に売ろうと思えば、けっこうな高値で必ず買い取ってくれる。

では、実際にこうした太陽光発電システムを設置している住宅の数は、全国にどれほどあるのだろうか?

太陽光発電がある住宅の数は2013年で157万戸。2008年から3倍になっており、2013年までの5年間で普及が急速に進んだ。都道府県別の普及率では、佐賀県7.5%、宮崎県6.7%、長野県6.4%、山梨県5.9%の順。日射量の多い地域で高くなる傾向がある。

日本全国で見ると、居住世帯のある住宅の数は2013年で5210万戸なので、太陽光発電システムを設置している住宅の割合は3%程度でしかない。

では、肝心の費用はどのくらいかかるのだろうか?

一般の住宅に設置する太陽光発電システム(3~5kW)の導入費用は120~200万円が相場。これは一般的には決して安い値段ではない。仮に120万円の導入費用だとして、それを設置できる所得層、給与所得者層はどれほどいるのだろうか?

所得階層別に世帯数の分布を見ると、2013年の調査では、中央値は432万円、平均値は537万円、平均値以下の割合は60.8%というのが実態。また、2013年での年収1000万円超の給与所得者の割合は3.9%。

要するに、太陽光発電システムを購入するだけの資金力を持っている世帯はそもそも多くないということだ。自治体によっては資金助成措置を用意してはいるが、一定以上の資金的余裕のある人でないと、太陽光の導入はなかなか難しいと思われる。こういう実態を考えると、特に住宅用太陽光の導入は早晩頭打ちになるだろう。

 

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石川和男

石川和男(いしかわ・かずお)NPO法人社会保障経済研究所・理事長。1965年、福岡県生まれ。東京大学工学部卒業。1989年、通商産業省(現経済産業省)入省。エネルギー政策、産業保安政策、産業金融政策、中小企業政策、消費者政策、物流・流通政策などに従事。2007年3月、経済産業省を退官。2008〜09年、内閣官房・国家公務員制度改革本部、東京財団上席研究員、政策研究大学院大学客員教授、政府の規制改革会議、行政刷新会議WGなどの委員を歴任。