<家庭用ゲームのスマホ移植の可能性>スマートフォン版ファイナルファンタジー13をやってみた


八坂亮[ゲームクリエイター]

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先日、スマートフォン向けのアプリとして「ファイナルファンタジー13」(以下、FF13)がリリースされた。もちろん、すぐさまダウンロードして遊んでみた。

■率直に「素晴らしい」

FF13といえば、PS3で発売されたゲームで、映像、音楽、ボリュームのどれをとっても非常にリッチなゲームだ。いくらスマートフォンの性能が上がっているとはいえ、簡単にスマートフォン上で再現出来るような代物ではない。

実はコレ、スマートフォンの本体そのものがFF13というゲームを動かしているわけではない。いわゆる「クラウドゲーム」という代物で、ネットワークを介して遠くのコンピューター上で動かしているFF13の情報をリアルタイムで取得するような形を採用している。スマートフォンがTVとなり、遠くにあるゲーム機の映像を映し出していると思うと関係性がわかりやすいだろうか。

筆者はiPhone5でプレイしてみたのだが、精彩に映し出される映像に思わず驚いてしまった。正直、自宅のTVよりもキレイな映像であるように思う。自宅のWiFi環境でプレイしたが、特に問題なく動作していたし、手のひらでこのクオリティのゲームができるのは、非常に素晴らしい事だと率直に感じた。

■家庭用ゲームをスマホに移植する時の課題

素晴らしい事だと感じる反面、ここが解決すれば! と思うような課題もある。

スマートフォン版FF13は、どうやらPS3でリリースされたゲームがそのまま動いているようで、画面上の表示や操作は家庭用のままとなっている。それ故ではあるが、やはり遊びづらさは気になった。

特に操作に関してはかなり苦しく、なかなか思ったようにゲームを進める事ができないもどかしさを強く感じる。人間はストレスを感じる物から離れる生き物だ。それはどんなに凄かろうと例外ではない。

今回のスマートフォン版FF13は非常に未来を感じるし、凄い物だと思うが、この遊びづらさを乗り越えて何度も電源を入れてみようという気持ちになり辛いのは事実ではないだろうか。

ただ、この課題は今回のFF13だけが背負っている問題ではない。過去に登場したスマートフォンに移植した家庭用ゲームほぼ全てに同じ課題を背負っているように思う。共通して言える事は画面にコントローラーのボタンを表示し、それらをタップしながら遊ぶ形を採用している事だが、これがなかなか難しい。

コントローラー部分を触っている指がゲーム画面を隠してしまうし、指が近づくだけで反応してしまうため思ったような操作ができない。コントローラー入力とタッチ入力は非常に親和性が低い。だからと言って、スマートフォンにコントローラーを繋いでまでゲームを遊ぶかと言えばそれも違う。結局、タッチスクリーンに最適化した操作で遊びやすくするしかないのだが、ここに妙案が出ていない。

■ポイントは「押しっぱなし」の抑制

コントローラー操作の中で、特にタッチスクリーン上で再現しづらい物は「押しっぱなし」操作ではないだろうか。指のズレも気づきにくく、意図通りに動作しなかった時に納得しづらい。実は家庭用ゲームはこの「押しっぱなし」を使う場面が非常に多い。しかも、キャラクターを動かす十字ボタンで使われる事が多く、ゲームの成否に直結してしまう。それはストレスがたまるわけだ。

しかし、ボタンを一回押す(タップする)操作は慣れてしまえばそれなりにできる。ここがポイントで、「押しっぱなし」を極力減らし、タップ操作だけで進める形であれば家庭用ゲームをスマートフォン上で遊んだ時のストレスも減らすことができるのではないだろうか。

もちろん、そのためにはゲームの内容の簡略化も必要だろうし、オリジナルのゲームをそのまま移植という形にはならないかもしれないが、トライしてみる価値はあるように思う。 

■スマホゲームの新しい世界はすぐそこに

これだけリッチな表現は実現できたので、あとはスマートフォンに最適化された遊びやすさと融合する事で、スマートフォンゲームの世界が変わるような予感がする。新しい世界は本当にすぐそこまで来ているのかもしれない。

 

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八坂亮

八坂亮(やさか・りょう) ゲームクリエイター 1986年、大分県生まれ。大手ゲームメイカーにて、家庭用のゲームソフト開発を行う傍ら、『らくがきラボ』名義でスマホ向けゲームも開発にも従事。一人でも多く人に「ゲームが楽しい」と感じてもらえるよう日々精力的に活動中。