<永六輔さんの思い出>白髪で背の高いワケの分からないことを喋っているじいさん?

エンタメ・芸能

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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もう10年も前のことか。筆者はTBSの会議室にいた。少し早めについたので部屋にいたのは筆者と若いADが5人。ドアの外で、何かもめる声がする。外でもめていたADが戻ってきて僕に告げた。

「すみません、白髪で背の高いじいさんが、これから僕はここで会議だってワケの分からないことを喋ってるんです」
「部屋は確かに予約しましたから動かなくて大丈夫です」

何か、いやな予感がしてドアの外に出てみた。外に出た途端あやまった。

「すみません、直ぐ部屋を動きます。どうぞこちらにはいって、おかけ下さい」

白髪で背の高いワケの分からないことを喋っているじいさんとは永六輔さんだったのである。若いADは5人とも、永さんを知らなかったのだ。
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すぐさまラジオ局に連絡を取らせて、永さんが間違ってやって来た部屋をラジオ局の打ち合わせ場所に変更するようお願いした。ラジオ局は我々に平身低頭であった。
ところで、永さんといえば、インタビューを編集されるのが大嫌いだった。筆者もインタビューをお願いしたことがあるが、その時も、

「それは何秒使うのか? 15秒なら15秒ぴったりで喋るから取材は15秒で終わってくれ」

と言われた。還暦を超えた筆者にとっても大先輩である永六輔さんの想い出はこれくらいしかない。永さんの逝去に際し、今更ながら「永さん、この頃のテレビはどうですか?」と聞きたくなった。
 
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