<トランプ・安倍会談>世界を覆う強欲資本主義

政治経済

保科省吾[コラムニスト]

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「会社でゴルフの話をして、ゴルフ場で仕事の話をする」

これこそ日本のサラリーマンの実態である。そして、トランプ米大統領と安倍晋三首相の会談を見ていて思い出した警句でもある。この警句通りにならないことを祈っている。

民主主義の中にあるポピュリズムの及ぼす危機についての議論が喧しいが、それを深く論じるのはあまり意味がない。問題は、むしろ、民主主義はいま、蝕まれており、蝕まれた民主主義で肥大しすぎた強欲資本主義をコントロールできるかということなのである。

いま世界は、

 *ロシア・プーチン大統領の独裁強欲資本主義と、

 *アメリカ・トランプ大統領の軍金融複合体強欲資本主義と、

 *中国・習近平国家主席の共産強欲資本主義と、

 *EUの西欧中心強欲資本主義と、

 *イギリスの高齢者強欲資本主義と、

 *イスラム教スンニ派の石油強欲資本主義と、

 *ISの宗教原理主義強欲資本主義と、

 *インドのカースト制強欲資本主義と、

 *安倍晋三首相の追従強欲資本主義等に覆われている。

 つまり、これからの時代は、これら格差を生み世の中を不安定化する強欲資本主義を民主主義がどうコントロールしていくかが課題なのである。今のところ、人類は民主主義と資本主義以外のそれを乗り越える社会システムを発明していないから、これを使い回すほかないのである。

明治元年(1868)、江戸幕府は瓦解し、天皇親政とは名ばかりの明治天皇を頂く薩長政権が生まれた。薩長政権を支えたのは天皇の詔勅で「元勲」とされた伊藤博文・山県有朋・井上馨・桂太郎ら長州の4人と、黒田清隆・西郷従道・松方正義・大山巌ら薩摩の4人。そして公家出身の西園寺公望を加えた総勢9人。この9人でいわば元老政治(概念で言えば賢人政治と同じ)が行われた。

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最後の元老と言われた西園寺公望は昭和15年1940年11月24日逝去した。そのわずか、1年後の日本時間1941年(昭和16年)12月8日未明、日本海軍は真珠湾を攻撃、太平洋戦争が開戦する。

その後、1945年8月、ソ連は日ソ中立条約を破棄し、日本の同盟国の満州国へ侵攻を開始。ソ連により北方四島は占拠された。アメリカは8月6日8時15分に広島市への原子爆弾投下、次いで8月9日11時2分に長崎市への原子爆弾投下が行われて、8月14日、終戦の詔書が発され、日本はポツダム宣言を受諾。8月15日正午、昭和天皇の玉音放送が全国民にむかって放送された。敗戦である。

降伏文書の調印に先立つ8月30日、連合国最高司令官ダクラス・マッカーサーが厚木に到着。トルーマン大統領から米国史上空前の全権が与えられていたマッカーサーは、天皇制維持のまま、大日本帝国憲法の全面改正を命じ、日本は民主主義国家となった。

 トランプ大統領のもとに駆けつけた安倍首相は「(日本に民主主義を開眼させたエイブラハム・リンカーン大統領を生んだ)米国こそ民主主義のチャンピオンであります」と称える。その国から教えてもらって、ようやく日本国民は民主主義を我が手にしたのである。

憲政の神様、尾崎行雄をに言わせれば「莫大な戦費を使い、膨大な戦死者の血の上に築かれた民主主義」である。

われわれ日本人は、この民主主義を武器に、世界の強欲資本主義をコントロールせねばならないのである。

 

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