<それでもやる?>オリパラ狂奏曲の裏で「巣ごもり在宅死」が激増

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト、星槎大学教授、日本ペンクラブ会員]

***

それでもやるってか! ワクチン難民を横目に「お祭り」強行の国ニッポンだ。よせばいいのに・・・はむしろ海外メディアか。我が国の大手メディアはどうか? 当初の開催是非論から、気がつけば「観客は1万人ならば」「5000人ならば」「無観客ならば」という政府広報とみまがうほどの変節ぶりだ。

ところで、辞書に「副作用」という言葉はあるが「副反応」という語はない。

「サリドマイド」「スモン」「エイズ」など過去の数々の薬害を国民に想起させ、ワクチン接種への恐怖をかわす狙いがある、といわれる。となれば、現在のワクチン接種後死亡の356人(厚労省発表)は「副反応による」で、「副作用による」ならば「何年先になにが起きても不思議はない」ということになる。

不幸にも、治療にアクセスすらできずに「無念の死」を迎えた高齢者がいる。

コロナのパンデミックが始まって1年半。世界規模でワクチン頼みだが、我が国は依然として医療崩壊にあり、感染者も自宅やホテルで「待機」「療養」を促されると、いよいよ医療機関の受け入れ事情から「搬送拒否」「孤独死」という異常事態にも遭遇した。

「イザというときには、病院へ」にたどりつけず、オリパラ開催の国で「在宅放置」が拡がりをみせた。IOC会長は「我々は犠牲を払わなければならない」という。「オリパラするから、うちで死ねってか」に聞こえるから不思議だ。

[参考]<自警団の復活?>「新しい生活様式」が同調圧力になるとき

コロナで「巣ごもり」1年半、介護を必要とする高齢者はどうしていた(る)のか。

そもそも「うちにいたい」と「うちにいるしかないから」が在宅の二面性だ。少子高齢時代に安上がりの在宅主義を勧めるのが国策だが、我が国の要介護高齢者は684.2万人(令和3年4月介護保険サービス 厚労省)、その7割が「うち」でなんらかの介護サービスを受けている。ただしだ。ここでの「要介護高齢者」は介護保険の認定調査を受けたひとで、実際に「うち」で過ごす要介護高齢者数とは違うから、正確には「わかっているだけ」の数だった。

「(家族が)うちにいるので休みます」と、デイ利用の断りの電話が事業所にはいった。とはいえ「テレワーク」の手を休めてオムツ交換の日々は難しい。そして、慣れない介護のストレスから虐待発生という悲劇も。

「元気な私たちだって1週間、ベッドで寝ていたら、誰も立てなくなりますよ」(理学療法士)

いまや在宅介護の現場では、要介護者の筋肉低下、認知症進行、うつ症状発生が顕著という(同)。また「寝たきり」の状態やADLの低下は他の臓器へ悪い影響は必至と続ける。

 

【あわせて読みたい】