<元手1万円で25万円の投資?>人には聞けないFXレバレッジ超入門

デジタル・IT

土居聖香(本誌ライター)

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止まらない物価高騰や株価の急変動によって、自分の身を守るための資産は自分で形成するべき、という風潮が高まっている。こうした背景もあり、コツコツと長期で積み立てて資産形成をする新NISAに取り組む人が増えている。しかし、積み立て投資は、数年から数十年単位の長期的な視点で資産を増やしていこうとする手法であるため、中には「もっと短期間で資産を増やしたい」と考えている人も少なくないだろう。

また、資産形成で大きな利益を得るには、これに比例して多くの元手が必要になるため、資金が少ない人が大きな利益を上げるのは難しい。そうした中、「少ない元手で、なるべく短期間で資産を増やしたい」という方に最適な方法があるのをご存じだろうか。

それが「レバレッジ取引」だ。レバレッジ取引とは、担保となる証拠金を預けることで、その何倍もの取引ができる仕組みだ。うまくいけば、少ない元手でも短期間で大きな利益を得られる可能性があるため、新NISAのように数年単位で積み立てる投資よりも、短期的な投資に魅力を感じる人に最適な手法だ。

ただ、レバレッジ取引には「おいしい話」だけでなく、慎重さが求められる側面もある。相場が思惑と逆方向に動けば、当初の資金を大きく減らしかねないというリスクとも向き合わなければならない。
それでも「短期間で大きな利益を狙いたい」と考えている人には、検討する価値のある方法といえるだろう。
本記事では、そんなレバレッジ取引の仕組みと、なかでもおすすめの選択肢としてFXを取り上げ、そのメリットと注意点を解説する。

<レバレッジとは?>

そもそもレバレッジとは、「手元資金の何倍もの金額を動かせる」仕組みのことで、小さな力で大きなものを動かす「てこの原理」のようなイメージを持ってもらうと良い。証拠金を担保に預けることで、手元資金の数倍から数十倍の取引が可能になるため、少額で大きな利益を狙いたい方に有効な仕組みだ。

なお、レバレッジの最大の魅力は、元手が少なくても大きなリターンを狙える点だ。たとえば10万円を元手として、5万円の利益を出したい場合を考えてみたい。レバレッジをかけない取引で5万円の利益を出すためには、元手から50%の値上がりが必要であるが、はっきり言ってこのような値上がりを狙うのは至難の業だ。

では、レバレッジをかけるとどうなるか。仮に10倍のレバレッジをかけたと仮定する。元手が10万円でも10倍のレバレッジがかかっているため、実際に取引に使用している金額は100万円である。そのため、5万円の利益を得るためには、5%値動きをするだけで良い。本来50%の値動きをしなければいけない利益をたった5%の利益で得ることができるのだ。

「限られた予算でかつ、短期間で成果を得たい」という投資家にとって、これ以上に魅力的な取引を見つけるのは難しいと言ってよいだろう。ちなみに、レバレッジ取引の代表的なものには、FX(外国為替証拠金取引)のほか、株式の信用取引や仮想通貨(暗号資産) などがある。

<FXのレバレッジ取引の魅力>

レバレッジをかけられる投資手法は複数あるが、中でも筆者が特に注目したいのはFXだ。理由としては、レバレッジをかけられる投資の中でも最大「25倍のレバレッジ」まで法令で認められている点だ。これは他の金融商品と比べて非常に高く、ここまで高いレバレッジをかけられる取引は珍しい。各取引のレバレッジを分かりやすく整理すると以下だ。

・FX(外国為替証拠金取引):25倍
・株式の信用取引:約3倍
・暗号資産:多くが約2倍

さらに、FXは法規制などのルールも整備されており、この環境下で25倍まで使えるのは非常に魅力的だろう。例えば、米ドル/円で、1米ドル=150円のときに25倍のレバレッジをかけた取引を行うケースを考えてみる。

1万米ドル(日本円で150万円)の取引をする際には、レバレッジを考慮しない場合、150万円を証拠金として入金する必要があるが、レバレッジが25倍の場合は、150円×1万米ドル÷25=6万円(最低限必要な資金)を証拠金として入金すれば1万ドル分の取引が可能になる。そのため、「短期間で大きな収益を狙いたい」と考える投資家にとっては魅力的な仕組みといえる。

<FXのレバレッジ取引の注意点>

一方で、同じだけのリスクも潜んでいる点に注意が必要だ。

例えば、10万円資金(最低必要資金:6万円)で、米ドル/円で1万米ドル分の取引をする場合を考えてみる。為替レートが1米ドル=150円から1米ドル=155円になると、1万米ドルの取引の場合(155円-150円)×1万米ドル=5万円分の利益が得られる。反対に1米ドル=145円と円高になった場合には、5万円分の損失が出てしまう。つまり、リターンも大きいがリスクも大きいのだ。

なお、FXには一定以上の含み損を抱え込んだ場合に 保有ポジションが全て決済される“ロスカット”という仕組みがある。ロスカットは、預け入れた資金が最低必要証拠金を下回った場合(レバレッジが25倍を超えた場合)に発動するケースが一般的だ。具体的には、10万円の資金で1万米ドルの取引をした場合、預け入れた資金10万円が最低必要な資金(担保金)である6万円を下回るとロスカットが執行されるイメージだ。

なお、これは余談にはなるが、ロスカットで損失が確定すると「取り返そう」という焦りが生まれやすく、思わぬ悪循環を呼ぶこともある。そのためFXをする際には感情のままに取引をしないことが非常に重要である。仮に損失が出てしまった場合でも、最小限に抑えるために、焦らず冷静に判断をすることが大切だ。ただ、自分の感情をコントロールするのはお金がかかっていると想像以上に難しい。そのため筆者としては、この価格を下回ったら、決済してしまう、という損切りルールを定めておくのをお勧めする。

そうすればたとえ損失が出てしまったとしても、ルールに従うことで感情のままに取引をせずに済み、損失を最小限に食い止められるだろう。これは利益が出ているときも同様で「あの時売っていれば、、、」は、どちらの局面でも言えるので投資の鉄則として覚えておいてほしい。

<FXのレバレッジ取引の始め方のススメ>

以上から、レバレッジをかけたFXは「リスクを取って色々な投資にチャレンジしたい人」「少ない元手で短期に利益を得たい人」におすすめの投資手法といえる。

そうはいっても、「いきなり大きなリスクを抱えるのは不安」「まずはどんな手順で始めたらいいのか」というユーザーが大半だろう。そこでここからは今後FXのレバレッジ取引に挑戦したい人に向けて、知識がない状態から始めるときのポイントを解説していく。

■まずは小額から始める

少ない金額で大きな金額分の取引ができるのがFXのレバレッジ取引の特徴ではあるが、いきなり数万円単位の取引を始めるのは得策ではない。だからこそ、最初は数千円、数百円とできるだけ小額から始めて、取引の感覚をつかむことをお勧めする。ただ、最小取引単価は証券会社によって異なるため、小額から始められる証券会社を選ぶ必要があるので注意が必要だ。

■レバレッジの倍率が選べて自分で変更ができる証券会社を選ぶ

最大25倍のレバレッジがかけられるのがFXの魅力だが、いきなり25倍で取引を始めるのはリスクが大きい。そのため、リスク管理の一環として、許容できるレバレッジの上限を選べるかどうかも考えておくべきである。また、自分でレバレッジの上限を5倍、10倍と選べ、好きなタイミングで倍率を設定できる証券会社を選ぶようにするべきだろう。ユーザー自身で選べない会社もあるので注意が必要だ。

■自動売買が利用できる証券会社を選ぶ

外国為替市場は24時間値動きを続ける。そのため、チャンスを見逃さないためには、常にチャートをチェックし続けなければならない。また、世界情勢や景気動向などにも影響されるため、投資に関する知識や経験が必要になる。しかし、初心者がそれらに対応をするのは非常に難しい。そこでおススメをしたいのがリピート型の自動売買だ。
リピート型の自動売買とはあらかじめ設定をしたルールに応じてトレードを繰り返す注文方法になる。自分が見ていない時間でも24時間自動で売買をしてくれるため、最適な取引タイミングを見逃すことはない。

松井証券のように上級者の自動売買の設定を公開しているところもあり、知識がなくても上級者並みの取引を行うことも可能だ。そのため、始めたばかりで知識がない段階では、まずはリピート型自動売買を活用できる証券会社で、上級者の設定を真似しながら取引を学んでいくのが良いだろう。また、レバレッジの注意点で、感情のままに取引をしないようにするべき、と伝えたが、自動売買を利用することで、感情に任せた取引を避けることができるのも大きなメリットの1つと言えるだろう。

■スプレッドの狭い証券会社を選ぶ

FXでは、買うときの値段(買値)と売るときの値段(売値)の差である「スプレッド」と呼ばれる取引コストが発生する。このスプレッドが狭いほど取引コストが小さくなる。単純に取引コストが大きくなればなるほど、自分に入ってくる利益が少なくなってしまう。少ない元手から始めるのであれば、この取引コストはないがしろにできない。だからこそ、取引をする際にはスプレッドの狭い証券会社を選ぶように心がけよう。

<FXのレバレッジ取引に最適な証券会社徹底比較>

以上の観点から、FXのレバレッジ取引を始めるのにふさわしい証券会社を検討していく。比較をするのは、FX取引で有力な、楽天証券、SBI証券、松井証券、DMM.com証券、GMOクリック証券の5社だ。

■最小取引単位取引ができる最小取引単位を比較すると以下の通りだ。

・楽天証券:1,000通貨
・SBI証券: 1通貨
・松井証券:1通貨
・DMM.com証券:1,000通貨
・GMOクリック証券: 1,000通貨

ほとんどの証券会社が1,000通貨からの取引であるところ、SBI証券と松井証券は1通貨(100円で取引可能)から始めることができる。小額からできるだけリスクを抑えて始めたい場合は、取引単位だけで見れば、SBI証券か松井証券で始めるべきと言えるだろう。

■レバレッジの上限設定

レバレッジに関して、倍率の上限が変更できるのかについてまとめたのが以下だ。

・楽天証券:2倍、5倍、10倍、25倍。設定画面から随時倍率の変更が可能。
・SBI証券:3倍、5倍、10倍、25倍。ホームページより倍率変更の依頼をし、翌営業日に審査の上で変更。
・松井証券:1倍、5倍、10倍、25倍。設定画面から随時倍率の変更が可能。
・DMM.com証券:25倍で上限固定。倍率の変更は不可。
・GMOクリック証券: 25倍で上限固定。倍率の変更は不可。

DMM.com証券とGMOクリック証券は、そもそもレバレッジの上限は25倍で固定である。SBI証券はレバレッジ変更の依頼をホームページで行い審査後に反映がされるため、リアルタイムでの変更ができない。そのため、レバレッジ上限を自分で選択ができ、かつ随時自分のタイミングで変更できるのは楽天証券と松井証券である。

■リピート型自動売買の有無

・楽天証券:なし
・SBI証券:なし
・松井証券:あり
・DMM.com証券:なし
・GMOクリック証券:なし

現状、FXのリピート型の自動売買を提供しているのは、松井証券の1社だ。そのため自動売買を用いたFX取引を行うのであれば、必然的に松井証券で、という話になる。また、松井証券は上級者が行っている自動売買の設定をコンテンツとして公開しており、初心者が始めるハードルを低くしている。

■スプレッド

スプレッドの狭さを比較するために、代表的な通貨を一部抜粋し、比較をしていく。

・楽天証券:(米ドル/円)0.2銭~(豪ドル/円)0.6銭~ (ユーロ/円)0.5銭~
・SBI証券:(米ドル/円)0.2銭~(豪ドル/円)0.6銭~ (ユーロ/円)0.5銭~
・松井証券:(米ドル/円)0.2銭~(豪ドル/円)0.4銭~(ユーロ/円)0.4銭~
・DMM.com証券:(米ドル/円)0.2銭~(豪ドル/円)0.5銭~ (ユーロ/円)0.4銭~
・GMOクリック証券:(米ドル/円)0.2銭~(豪ドル/円)0.5銭~ (ユーロ/円)0.4銭~

やはりどこも人気の証券会社だけあって、拮抗している。米ドル/円については、差がつかない。豪ドル/円とユーロ/円のペアを見ると、松井証券が最も狭いが、各社差が無いと考えて良いだろう。

<FXのレバレッジ取引をまずは手軽に始めるなら>

まとめると、初心者はまず小額で取引に慣れつつ、徐々に取引額とレバレッジ額を上げていくように取り組むのが重要である。また、損切ルールを定めて一時の感情に左右されずに、取引をすることも忘れないようにして欲しい。ただ、取引に慣れておらず、知識も少ない状態では損切ルールを定めるのも非常に難しいので、一定のルール通りに自動で取引を行ってくれる自動売買を活用するのが最適な選択だと筆者は考える。

以上をふまえると、1通貨から取引ができる点や、レバレッジの倍率も選択でき、感情に左右されない自動売買を、上級者の設定を真似しながら活用できる「松井証券」がおススメではないだろうか。松井証券は「レバレッジ取引に必要な機能」をバランス良く備えており、初めてFXを試す人からレバレッジで積極的に攻めたい人まで、幅広く対応できる。

松井証券のFXについては、こちら(https://www.matsui.co.jp/fx/)で詳しく解説しているので、参考にしてほしい。

今回は、松井証券をおススメする、という判断になったが、その他の証券会社においてもそれぞれ、楽天証券は楽天ポイントの活用ができる、SBI証券は業界最多水準の通貨ペア、DMM.com証券やGMOクリック証券は管理ツールが優れておりチャート分析がしやすい、などの強みがある。

初心者がまずハードルを下げて始めるなら、という観点から4つの要素を比較し、最適な証券会社を導き出したが、実際の状況によって最適な証券会社は変わるので、総合的な判断で証券会社選びはしていただきたい。

「FXのレバレッジ取引はハイリスク・ハイリターン」――確かに、その性質上、大きく負けるリスクも抱え込むことになるため、万人におすすめできるわけではない。しかし、「少ない元手で短期で資産を増やしたい」と考える人にとっては、FXのレバレッジ取引は魅力的な選択肢ともいえる。

「まずは体験してみたい」「いきなり多額を投下するのは怖いけれど、少しずつレバレッジを上げてみたい」という方には、100円から始められ、レバレッジコースも1倍・5倍・10倍・25倍と選べる松井証券のFXで始めてみてはいかがだろうか。本稿が読者の効果的な資産形成の参考になれば幸いだ。

 

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