<なぜ、レーシック訴訟が起きるのか?>費用の安さではなく、医師と2人3脚で歩めるかどうかで医療機関を選ぼう
松井宏夫[医療ジャーナリスト]
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昨年2014年12月、レーシックの手術を受けた後、強い目の疲れや痛みが治らないなどの患者12人が、手術を行ったクリニックを相手取って、8000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
2010年にも『銀座眼科』でレーシックのトラブルがあったが、これは大規模な感染症の発生で、あまりに基本である衛生管理ができていなかった。
レーシックの手術を普通に行っていると感染症の確率はゼロではないが5000人に1人といわれている。
今回の訴訟では、矯正を強く行いすぎた「過矯正」が大きな問題となった。過矯正はレーシックでは最も多い訴えである。レーシック治療を行う上での治療の基本にのっとっていない、といえる。
レーシック自体は1995年にアメリカのFDA(食品医薬品局)がレーザー治療を認可し、日本では2000年に厚労省の認可が下りて以降、急速に普及した。もちろん、手術自体は技術的に確立された手術である。
では、何処が問題なのか。
この手術の基本的なあり方として、第①は「医師がきちっと患者と向き合っている」こと、第②は「レーシックは弱め弱めの矯正」、ということがある。
どうしても弱かったときは追加矯正をする。追加矯正の料金は最初の手術料金で行うもので、追加請求はあり得ない。このように行うと過矯正の問題は起こらない。
しかし、過矯正されてしまった患者は、その改善治療を求めて「レーシック難民」になってしまう。この改善治療はかなり難しい。
治そうとして上手くいかないと「善意の眼科医」も患者から敵にみられることになってしまう。ここが難しい点である。患者は費用が安い医療施設を選択するのではなく、その医師と2人3脚で歩めるかどうかを考えるべきである。それと共に、医療施設の認可制なども考える必要があるのではなかろうか。
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