<もと食品検査の専門家が語る>安全に過敏な日本人は「まだ食える食品」を安易に廃棄処分
清水綾一[メディアゴン編集部]
暑い時期になると、アイスの消費量は多くなる。本日私も、消費量に貢献したところだ。
スーパーやコンビニに行くと、毎年新商品が並べられている。最近では、「まさかこんな味が!?」と不思議に思うアイスも。ところで、アイスには賞味期限が無い。それは、結構有名な話だ。
なぜ、アイスには賞味期限が必要ないのか。
それは言うまでもなく、マイナス18度以下で冷凍保存するため、細菌が繁殖しない温度下ゆえに品質上問題ないとされているからである。
しかし、アイス以外にも賞味期限を表示しなくて良いものは他にもある。 加工食品品質表示基準によれば、でん粉、チューインガム及び冷菓、砂糖、アイスクリーム類、食塩及びうま味調味料、飲料水及び清涼飲料水(紙栓以外のガラス瓶とポリエチレン容器に入ったもののみ。)並びに氷については、本来賞味期限を省略しても良いのだ。
しかしながら、それでも表示してある。やはり国民性といったところだろうか。
海外からの輸入製品には、賞味期限を年月のみ表示してあるのを目にしたりもする。輸入時には賞味期限の年月のみだが、それを日本で流通する際にメーカーが年月日までをラベルに付しているのだ。おそらく、「年月」までだと、一体何日まで大丈夫なのか?という問い合わせがあるからだろう。なので、メーカーは表示されている月の月末日を記載しているのが現状だ。
ちなみに、日本でも賞味期限が3か月を超えるものについては、「年月」のみの表示で良いことになっている。しかし、ほとんどは「年月日」の表示だ。何度も言うが、国民性だろうか。
そんな中、先日大手飲料メーカーが賞味期限12か月以上の製品については「年月」表示に切り替えることを発表した。一体どんなメリットがあるのか。様々なメリットはあるとしても、まずは卸売業・小売業といった、在庫を管理する業種が、製品を管理しやすくなる。
今までは「日にち単位」だったのに対し、これからは「月単位」になるのだから、飛躍的に効率が良くなる。しかし、逆を言えばトレースしづらくなる懸念もある。仮に、賞味期限でロット管理している企業だった場合。
ある日の製造分に、金属異物が混入していたことが発覚し、その日の製造分すべてを回収することになった際、これまでは賞味期限の日付が明確だったため回収が容易だったのが、月単位になってくると1ロット中の数が多くなるため、その分リスクも高くなる。
賞味期限を年月日から年月の表示に切り替えたからとはいえ、賞味期限とは別のロットの定め方をしていないと、万が一のとき大ごとになってしまう。それは、メーカー側も百も承知だろう。
賞味期限に敏感な消費者は、1日過ぎたくらいで廃棄処分してしまう。
とはいえ、賞味期限を過ぎた瞬間からダメになるなんてことはない。消費者はもっと、「消費期限」と「賞味期限」の違いくらいはしっかりと理解する必要がある。
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