能年玲奈(のん)が正常に活動できない芸能界の病
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
***
能年玲奈(のん)の女優・声優としての実力は、多くの目利きが認めるところである。では、なぜ、テレビには出ないのか。
事務所からの独立のごたごたは「芸能界自体に反旗を翻した」とみなされ、長老支配の弊害の極みにある芸能プロダクションの連合体が能年玲奈(のん)の復帰を阻止すべく目を光らせている・・・と、テレビ局がおびえているからである。能年玲奈を使ったテレビ局はほかの芸能人を出してもらえなくなるのではないかと恐れているのである。
もちろん、正常な心を持った音楽界・芸能界の人々は能年玲奈の味方である。こうの史代原作、片渕須直監督・脚本「この世界の片隅に」において、能年玲奈を主役声優に起用した同監督。第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位に同映画を選んだ人々。そして・・・
能年玲奈は8月6日。葛西臨海公園で行われた音楽祭で、同映画の主題歌、ザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」をコトリンゴとデュエットした。サディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」を歌った。能年玲奈がタイムマシンにお願いしたかったのは芸能界と契約を結ぶ前に戻ることではなかったか。
【参考】<キンコン西野が収録退席>不快発言ディレクターの低すぎるレベル(https://mediagong.jp/?p=22833)
この音楽祭で能年玲奈をサポ−トしたのは元YMOの高橋幸宏のバンドである。ここから人をたどっで行くと、細野晴臣、坂本龍一、加藤和彦、つのだ☆ひろ、後藤次利、高中正義、松任谷由実、小田和正、財津和夫、三浦友和、泉谷しげる、桑田佳祐、井上陽水、アルフィー、甲本ヒロト、そして、仲井戸麗市、忌野清志郎などの人々に繋がって行く。これは単なる人脈数珠つなぎではない。彼らは考え方方や成功を同じくする人々である。
会場では2000円で能年玲奈が歌ったRCサクセションの「I LIKE YOU」を、録音したカセットテープが売られた。その歌詞に次の様な一節がある。
「そんなに考える事はないさ 初めに感じたままでいいさ
そのままでジューブン素敵さ 本当の事だけでいいさ
さぁ 笑ってごらん HA・HA・HA・HA・HA
ほら うぬぼれてごらん HA・HA・HA・HA・HA」(作詞・作曲:忌野清志郎)
こうした多くの味方は能年玲奈という女優を強力にバックアップし続けるだろう。そうした巨大な潮流は旧メディアと認識されつつあるテレビとそれを支える芸能界の旧態依然とした体質を変えていくだろう。筆者はその流れを熱烈に支持する。
どんな大河でも流れはいつかは変わる。
RCサクセションのアルバム「COVERS」は、所属レコード会社の東芝EMIから1988年8月6日(広島平和記念日)に発売される予定だった。しかし、「ラヴ・ミー・テンダー」と「サマータイム・ブルース」で核問題と原子力発電の問題点が歌われており、特に後者は日本の原子炉サプライヤーでもある親会社の東芝からの圧力がかかり「素晴らしすぎて発売できません」という新聞広告(1988年6月22日付全国紙)と共に発売中止となっている。
忌野 清志郎は2009年5月2日に亡くなり、東芝には破産の危機が噂されている。
【あわせて読みたい】