<自民党がNHKとテレ朝の幹部を呼びだす珍事>海外メディアも指摘する日本マスコミの不甲斐なさ

政治経済

山口道宏[ジャーナリスト]

***

「デンパとジンジを握ったら誰だって面白いようになんでもできるさ」
とは、旧知のある官僚の話だ。現政権は、内閣官房長官が元・総務大臣でデンパ(電波)を知り、念願の官僚人事も人事院から内閣官房へ移行させたことでジンジ(人事)も掌握、あとはすべて思惑通りになるだろうと、分かり易い。
先日、自民党がNHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけ聴取した。前者は「ヤラセ疑惑」で後者は「古賀発言」というが、いつから自民党がBPОを差し置いて判官役になったのか。
本件を最初に報じたのが日本テレビ系列(読売グループ)とはいえ、この異常事態には誰もがてびっくり仰天である。受信料で「タクシー代」や「カラオケ代」を支払うなど、数々の疑惑をもたれる「どこかの局の会長」を呼ぶというのならまだ、納得がいくのだが。
また、一票の格差をめぐり、選挙の「違憲性」を指摘する裁判が各地で起きている。すなわち党派をこえて「違憲的政治家」に判官役はどうにも似合わない。
そもそも、逆なら分かる。いままでも「権力を監視する」はずのマスコミならば常套ともいえる方法であった。ところが、現在の状況を見れば、許認可を握る総務省怖さからか、テレビ業界も随分と馬鹿ばかにされたものである。放送法は「水戸黄門の印ろう」になっているのか。
許認可はいまに始まったわけでもあるまい。しかし、とうとう政府広報になり下がることを宣言するから、もはや「マス+コミュニケーション」ではない。業界人よ。沖縄現知事の矜持の「爪のあか」でも飲んではどうか。
どこかの独裁政権のようで民主主義のニッポンは一体どこに。「ネギ」や「うちわ」や「SМ」や「政治資金規正法違反」とゾロゾロ疑惑だらけの自民党政権。「反権力」「反体制」こそ存在意義、といわれるジャーナリズムである。
どうした日本の報道人たちよ。しっかりしなさいよ、とニューヨークタイムズやCNNが日本のマスコミの不甲斐なさを海外メディアが指摘している。
 
【あわせて読みたい】