<キングオブコント2015>出場10芸人の評価ポイントをわかりやすく解説


高橋維新[弁護士]

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2015年10月11日に放送されたTBS「キングオブコント2015」。本稿では、出場した各芸人ネタについて寸評してみたい。

1.ファーストステージ

*藤崎マーケット

開幕からトキの脇汗がすごかったが、コント終わりに浜田がツッコんでいたのでまあよし。ただ、脇汗が目立たないような衣装に変えた方がいいとは思う。

「お金をもらってコミカルな動きをする大道芸人(トキ)」に、パフォーマンスの最中に父親(田崎)がしゃべりかけるというコントなのだが、大道芸人らしい動きはきちんとできていた。親の喋りに合わせて大道芸人らしい動きを続けたまま細部を微調整するというのもそれっぽく決まっていた。綿密な練習がうかがえるコントである。

設定自体もおもしろいので、田崎役からアドリブで色々な指示を出せばおもしろいオモチャになると思う。

*ジャングルポケット

舞台劇風のコント。ストーリーがカッチリとあり、それを台本通りに進行させていくタイプであって、ウッチャンのコントに近い(http://mediagong.jp/?p=11720)。ライブでやるのはいいだろうが、藤崎マーケットと違ってテレビ的な広がりは見えにくい。

*さらば青春の光

三村のコメントが全てを言い表していた。何がダメかというと設定と、一つ一つのボケである。つまり全部ダメである。全てがややウケだった。

*コロコロチキチキペッパーズ

ハゲのフラ(http://mediagong.jp/?p=459)にいい声というナダルの強みが存分に生きたコント。ナダル扮する天使の登場がウケた段階でそのまま最後まで突っ走れそうだったが、実際に突っ走っていた。

友達のいない小学生に前述の天使が「友達になってあげる」と話しかけてくるというコントである。天使は、小学生に、「君が泣くと僕は帰らないといけないから泣かないようにしてくれ」と条件を付けるが、すぐ泣かれて帰ることになってしまうというクダリを何回か繰り返すことになる。

そのあと天使は今度「触らないでくれ」という条件をつけるのだが、これはもっと前の方にフッておいても良かったのかなと感じた。でも結局「触らないでくれ」と言った後も泣かれて変えることになっていたので、いいのかしらね。大オチが触られての終わりだったので、フリからの時間的隔たりはそこで付けられているといえばそうである。

これも設定がおもしろいので、小学生役をアドリブで泳がせてみたい。

*うしろシティ

悪魔を召喚してしまった老人のコント。

悪魔は、老人がゲートボールのゲートをそれっぽい形に配置していたから偶然出てきたという設定である。つまり、最初のボケは老人なのである。

でも、その後はずっと悪魔がボケており、そして、最後の大オチはまた老人がボケに回っていた。ボケが脈絡なしにクルクル変わるので、見ている方としては切り替えが難しかった。会場でイマイチハネなかったのはこの点が原因ではなかろうか。

悪魔も、しゃべりも動きもどことなくヘタクソであり(特に老人がしゃべっている最中の所在無げな所作が悪魔とミスマッチである)、「高貴で自信家の悪魔が大したことを言っていない」というボケのズレがあまり際立たない。もっと稽古できるだろう。

それと、大オチを下ネタに逃げてしまったのが・・・。

*バンビーノ

有名なダンソンと同じく「おもしろい感じのカタカナ」が出てくるコント。

ただ、コントの中核はそこではなく、呪文を唱えようとする魔法使いと、変なタイミングで吠えてそれを邪魔する犬という古典的な繰り返しコントである。その呪文が「おもしろい感じのカタカナ」になっているので、気が散る。「ダンソンだけじゃない」と煽っておきながら結局ダンソンみたいなものを入れてくるので、どうにも逃げている感じはする。

そもそもこの「おもしろい感じのカタカナ」は、筆者にとっては「おもしろい感じがする」だけなので、さほどおもしろくない。なんか、発想が小学生的だと感じてしまうのである。もっと普通の感じでやればいいのにとは思う。

これも設定がきちんとしているので、犬にアドリブで色々とやらせてみたい。全体的にはアメリカのカートゥーンみたいだった。

*ザ・ギース

凄くシュールなコントをフリとしてやったあとに、それを直したコントをやるという変則的なネタ。フリが長すぎて、キングオブコントの4分という短い時間制限にはマッチしていない。あと、直したコントをやっている時点では時間が経ちすぎてフリのコントだとどうなっていたかというのが思い出しにくいと思われる。結果、笑いも起きにくい。

*ロッチ

試着室を開けると着替え途中だったという非常に古典的なコント。パクったと言いたいわけではないが、「ダウンタウンのごっつええ感じ」に似たようなコントがある。このコントでは、東野が着替える客、YOUが店員役だった。試着室のカーテンを開けると東野は結局全裸で立っているのだが、このコントのボケの行きつく先は全裸である。ただ、客役の中岡はパターンを変えずに、開けられたときはずっと同じ姿勢だった。

松本も「(コントを見ている最中に)パターンを変えるなと思った」という趣旨のコメントをしており、結果的にはこれが奏功したということだろう。なぜかはよく分からないが。

*アキナ

トリをイヌより軽視するという価値観が受け入れられないと難しいだろう。あと、ザ・ギースと同じくフリが長い。

*巨匠

悪いことをして刑務所代わりの寿司屋のカウンターにコンクリートで足を固められ、ずっとそこで働かされている人のコント。致し方ないとはいえ、この状況を全て口で説明しているのがどうにも。漫才じゃないんだから、もっと視覚的なネタばらしがほしい。つまり、キングオブコントで勝ちに行くのに持ってきていいコントではないと思う。

【2.ファイナルステージ】

*ジャングルポケット

1本目と同じく舞台劇風。特に追加で言うことはない。問題点は1本目と同じである。

*藤崎マーケット

お化け屋敷で働いている人とそこに来た客のコント。前半と後半でシチュエーションがガラッと変わったので、散漫な感じを受けた。

*バンビーノ

1本目以上に「おもしろそうな感じのするカタカナ」が全面に押し出されていたので、筆者にハマらないのは変わりない。やっぱり設定ははっきりしているので、アドリブで色々とできたらおもしろくなるだろうなあ。

*コロコロチキチキペッパーズ

ずっとボケが同じで一本調子だった。音楽に合わせて動くコントだが、手柄はピッタリの音楽を見つけられたことだけだろう。ただ、それだけである。

*ロッチ

試合に行きたくない格闘家とその母親という正統派のシチュエーションコント。審査員が付けた点数も軒並み高くなかったが、多分個々のボケの質の問題である。

 

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高橋維新(たかはし・いしん)弁護士、コラム二スト。1987年、東京生まれ。2006年、東京大学法学部入学。2010年より「マヒ郎」のペンネームでファミ通町内会へ「ハガキ職人」として投稿を始める。現役ハガキ職人を続けながら、2012年に司法試験合格。2013年、弁護士登録(函館弁護士会)。ファミ通町内会長(第5代)。