[茂木健一郎]中国と台湾は比較する意味がないくらい正統性の基盤が違う


茂木健一郎[脳科学者]

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台湾の総統選挙の結果が出た。蔡英文氏が当選。

中国に対して距離を置く立場の民進党の勝利に、大陸との関係がどうなるなどといった分析がさっそく出ているが、なんだかなあと思う。中国大陸に住むひとりひとりの方に対しては、親しみがある。

しかし、政府に対してはそうではない。そもそも、中国政府と台湾政府は、比較するのも意味がないくらい、その正統性の基盤が違う。

前者は一党独裁であり、後者は民主的な選挙だ。台湾の民主的な選挙の結果、一党独裁の中国政府の機嫌がよくなるとか、わるくなるというのは、比較する対象がおかしいのであって、そもそも、台湾は台湾で、中国は中国だ、というのが現実のところだろう。

中国には、そもそも選挙がないんだから。「一つの中国」というのはイデオロギーだと思うが、事実上意味がないと思う。中国と台湾では、文化や政治的な成熟度が違いすぎるからだ。

実際には「二つの中国」なのであって、そのどちらが文明的に進んでいるかと言えば、それは言うまでもない。多くの国は、中国と国交を結んだ際に、台湾とは断交した。

「一つの中国」という建前のせいである。主権国家を「All or Nothing」でとらえる硬直した思考だ。中国と台湾、両方と国交を結んでもいいと私は思う。

イデオロギーは別として、実態としては、二つの異なる国なのだから。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。