<素のままの感情表現>ベッキーの言葉がなぜ共感を呼んだのか[茂木健一郎]


茂木健一郎[脳科学者]

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ぼくには、テレビを見る習慣が基本的にない。忙しいということもあるけれども、そもそも、放送しているときにモニターの前に座っている、ということができないからだ。だから、昨日のベッキーさんのお話も、見ていない。

そもそも、人が泣いているところを見るのは好きじゃないし、Youtubeを見ればその動画もあるだろうけど、確認しようとは思わない。それでも、文字起こしで見る限り、ベッキーさんの言葉には、「感情」が率直に出ていたのではないかと思う。

好きだとか、嫌いだとか、そういう感情は、誰にとってもやっかいなものだ。感情は、自分のものでありながら、自分ではコントロールできない。そして、感情が、社会的な文脈の中に置かれると、さまざまな波紋を起こすことがある。

【参考】<ベッキーが芸能活動復帰>不倫よりも「人が見ていないところでは態度が違う人」と思われていることが問題

一方で、感情は、誰にでもあるから、それを率直に表現すれば、共感を呼ぶこともある。だから、会見では、自分の感情を、率直に表現するのが良いのだと思う。ただ、そのような表現には、ある種の勇気がいる。

ベッキーさんの言葉が、共感を呼んだらしいのは、そこには、素のままの感情が表現されていたからだろう。それは、簡単なことではないし、いつもそうできるわけではない。でも、そのような表現をした人は、それだけで、カーテンを開いたことになる。

一方、自分がほんとうにどう感じているか、その感情を表現できない会見は、結局、失敗になる。感情の表現は、ほんとうに簡潔で、短いもので良い。感情という素材をそのまま出すことができるかどうかが、会見のポイントと言えるだろう。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。