<寒すぎる企画「ICT48」>情報通信分野で活躍する女性を支援する?絶望的な発想の貧困さ


茂木健一郎[脳科学者]

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先日、ツイッターのタイムラインで「ICT48」という文字列を初めて見た。といっても、まだツイッター全体でトレンドワードに上がるところまでは来ていなくて、ぼくがフォローしている人たちのクラスターの中で、言及されていたのだ。

ICT48は、ICT(情報通信技術)分野の女性活躍を支援する「ICT女子プロジェクト」において、「本プロジェクトを一緒に盛り上げる」存在なのだそうだ。そして、今、「募集中」なのだそうだ。

それで、ICT48は、募集サイト(https://t.co/2PkwcouR0k)によれば、「ICTを用いて活動している女性(自薦他薦を問いません)」で、「2016年7月1日時点で13歳~24歳の方」なのだそうだ。このあたりで、脱力してくるのが、ふつうの感覚というものだろう。

ICT分野において、女性が活躍する(というか、今の時代、LGBTを含めた、すべてのジェンダーの方が活躍する)ことを支援することは、もちろん、一般論としては望ましい。だけど、そこから、「ICT48」に飛ぶ発想の貧困さ、わかっていなさに、絶望と、どちらかというと怒りを覚える。

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「***48」の活動自体は「アイドル」活動で、それ自体はあっていいと思う。しかし、その文化(そして何よりも女性観)とICTというワードで示される今の社会で起こっているイノベーションの波は、必ずしも一致しない。というか、おそらくかなり違う。

「13歳~24歳の方」という年齢制限をしている点で、すでに見逃し三振、アウト、退場、永久追求処分だ・・・ということがわかっていない方々が、女性のICT分野での活動をうんぬんされていらっしゃることに、心の底から、寒さを感じる。ぶるぶるぶる。ここは、厳冬のシベリアですか。

結局、ICT分野における女性(にかぎらずLGBTを含むすべての方々)の活躍を応援したかったら、日本で偉い方々は口を出さず、規制緩和し、市場の自由化をして、一方で無償の教育、返さなくて良い奨学金を予算化、ご用意いただくのが一番いいと思う。

そして、もし、女性(というか、LGBTを含む、すべてのジェンダーの方々)が実際にICTで活躍する日本社会ができたら、そのトップスターを集めてみればいい。その時一堂に介する、「本当のICT48」は、今回のへなちょこプロジェクトの募集要項が想定している女性像とは全く違うはずだ。

 (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。