トルコで発生する「定期的」なクーデター[茂木健一郎]

茂木健一郎[脳科学者]
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朝起きて飛び込んできたトルコのクーデターのニュースには驚いた。トルコはNATO加盟国であり、EUに加盟を申請中である。ISISもかかわるシリア内戦にも、隣国として重要な影響力を持つ。さらに、中東から欧州への難民の移動ルートでもある。そのような国で起きたクーデター。
文脈を理解するために、いくつか英文のニュースサイトを読んだ。それによると、トルコは、近代国家としての成立後、何度か、「定期的な」クーデターを経験してきた。これまでの頻度から言えば今回のクーデターは、「遅すぎた」とも言えるほどである。
過去のトルコのクーデターは、1960年、1971年、1980年、1997年。今回クーデターが成立すると、19年ぶりということになる。そして、過去のトルコのクーデターには、共通した傾向があるという。
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トルコの軍は常に、建国の父であり「父なるトルコ人」(アタテュルク)の称号を与えられたムスタファ・ケマルが確立した「世俗主義」(secuarism)が危うくなる度に、介入してきたのだという。このため、西側も、基本的には、クーデターの方向性は歓迎してきた。
今回のクーデターは、次第に独裁の色を強めていたエルドアン大統領に対する反逆である可能性が高い。もしそうだとすると、建国以来のトルコの「伝統」に基づく、政治における穏健な世俗主義を保つための介入だということになる。
エルドアン大統領の所在については情報が交錯しており、国外から帰国途中だったが着陸を拒否されたという情報もある。国営テレビで演説する予定だったが、軍に占拠されたので、Facetimeで国民に抵抗をよびかけているとの報道も。
トルコは、欧州と中東の関係をめぐって情勢が不安定になる中で重要な国であり、今回のクーデターの行方から目が離せない。現段階で言えることがあるとすれば、エルドアン大統領の強権的な政治には、やはり無理があったということだろう。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 
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