「打ち合わせ」と称する「たんなる雑談」が好きな人に警戒


茂木健一郎[脳科学者]

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ぼくは感覚が世間とはずれているらしく、いろいろなところで違和感を抱いてしまうが、「打ち合わせ」というものがよくわからない。しばしば、メールで、「打ち合わせ」の時間をください、という依頼が来るが、正直、必要ないんじゃないかと思ってしまう。

「打ち合わせの時間を30分程度ください」と言うメールが来たりして、仕方がないから、ここで、とお会いする。その時、ぼくが思っているのは、「絶対、そんなに時間が必要なはずがない」ということで、案の定、予感はだいたい当たる。

「打ち合わせ」と言っても、せいぜい2、3項目(多くて5項目くらい?)の事項の確認だけで、それが終わると、暇になってしまう。仕方がないから、(ぼくはサービス精神が旺盛なので)、何か雑談をして、場を盛り上げてしまう。

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つまり、世間で言う「打ち合わせ」とは、せいぜい2、3分で終わる「確認の時間」と、そのあとの「雑談」のことなのだな、と割り切ったら、気が楽になった。それ以来、「打ち合わせの時間をください」というメールは、「雑談しましょう」と読み替えることにしている。

もっとも、「打ち合わせ」と称して、本来だったらさっさと済むことを、「ああしましょう、こうしましょう」と、行ったり来たり、うろうろしている会話が横から聞こえてくることもあって、ええい、まどろっこしい、といらいらしてしまう。

世間には、不必要な時間をかけるのが好きな人がいるようだ。

いずれにせよ、ぼくは「打ち合わせ」という言葉に非常に警戒感を抱いていて、世間から「打ち合わせ」というものを削減すれば、随分生産性も上がるし、人々の心もすっきりするんじゃないかと思う。メールで済ますことのできない「打ち合わせ」には、めったにお目にかかったことがない。

  (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。