脳科学者が考える「To Do List」を使うべきではない理由


茂木健一郎[脳科学者]

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生きている中で、やらなくてはならないことはたくさんある。それを、いわゆる「To Do List」にして、手帳に書いてある方がいらっしゃる。たくさん並んでいて、その横にbox があって、終了したら、それをチェックする、というイメージである。

私は、このような外部的なTo Do Listを推奨していない。むしろ、To Do Listは、頭の中にあるべきだと思っている。実際、私は外部的なTo Do Listを一切書かない。その理由は、以下に説明する通りである。

手帳など、外にTo Do Listがあると、イメージとしては、自分が機械になって、ひとつひとつの与えられた項目を順番に実行していくということになる。そして、すべてのリストが終わったら、タスクが完了するということになる。しかし、このようなシステムは脆弱である。

【参考】不幸が重なっても「次もまた不幸」とは限らない

まず第一に、To Do Listは有機的に変化するものである、ということである。

朝起きた時のリストと、昼間のリストは違うかもしれない。メール1本、ニュース1つで状況が変わることもある。その際に、臨機応変に変化するためには、頭の中のリストの方がいい。

次に、脳の中の「準備」体勢が違う。

外部のTo Do Listに頼らず、自分の中で、これからやるべきことのイメージがあると、無意識のうちに、その準備をするようになる。関連情報を整理したり、必要なことを調べたりといった態度が、自然に身につくようになる。

さらに、To Do Listの項目は、お互いに独立ではない。

Aという項目と、Bという項目に共通していることがある。そのような関連性に気づくと、DotとDotを結ぶ創造性も発揮しやすい。思わぬ、項目間のシナジーが生まれることもあるのである。

内部にTo Do Listがあって、そのイメージを常に有機的に把持し、思い浮かべるようにしておくと、目的遂行へ向けての生命としての体勢がより研ぎ澄まされる。

だから、私は、外部にTo Do Listをつくるのではなく、頭の中でイメージしておくことを、強く推奨するのである。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。