「集中」には「行き」と「帰り」がある – 茂木健一郎


茂木健一郎[脳科学者]

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集中には、「行き」と「帰り」がある。「行き」とは、だらだらしている状態から、一気に集中するプロセスである。これは、トレーニングして瞬間的に集中を高めるようにするといい。

昔、プロレスで、アントニオ猪木やジャイアント馬場が和服美人から花束贈呈を受けていた時、いきなり乱入してサーベルで殴り掛かるといたタイガー・ジェット・シンのように、瞬間トップスピードで集中すればいいのである。

坂本龍馬が、おりょうと京都の宿屋でまったりと鴨鍋を食べているとき、新撰組が「お命頂戴」と来たときに、「あと30分したら雑炊まで終わっているからその頃来てください」とは言わない。いきなりトップスピードに行かないと命がない。集中とは、そのようなものである。

【参考】行き詰った時に脳を解放する「sleep on it」の効用

集中への「行き」ができる人は、「帰り」も早い。つまり、何かに集中していても、課題が終わったり、次の文脈に行くときに、あっという間にバラして、集中を解くことができる。「行き」が早いぶん、「帰り」も早い。そのようにすることで、リズムができる。

集中への入りが遅い人ほど、何かをやめるときもぱっとやめることができない。集中力をつけたいと考えている人は、集中の「ばらし」も早くするトレーニングをするべきだろう。集中の行き帰りの両方をすばやくやることで、リズムをつけることができるのである。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。