<脳は非線形>2倍の努力をしても2倍の成果が上がるわけではない -茂木健一郎


茂木健一郎[脳科学者]

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脳の神経回路網は非線形であり、あるパラメータを2倍にすると、2倍の変化が生まれるのではなく、様相そのものが変わることがある。結果がでないであせりがちな時は、このことを考慮する必要がある。

「面白さのしきい値」で言えば、2倍継続したり、2倍努力したら2倍面白くなるのではなく、突然、それまで全く面白く見えなかったものがとてつもなく面白く見えるということがあり得る。だからこそ、脳は面白く、生きることは愉快である。

さまざまな分野で、「努力しても成果がでない」という時に、諦めないための心の保ちかたとして、この非線形性ということを頭に置いておくのが良い。非線形性は、単一の脳だけでなく、人間関係や社会においても当然成り立つ。

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たとえば、仕事上で、人とのつながりを2倍にすると2倍の成果が上がることが期待されるのではなく、突然、それまでとは質の異なる事象が生まれることがある。次の一人が、これまでとは違う何者かを生み出す可能性があるのである。

本を読んでいても、次の1冊が全く違う世界を切り開く可能性がある。英語の学習も、次の努力が新しい世界を切り開く可能性がある。だから、諦めてはいけない。諦めるのはもったいない。新世界への扉は、次に開くかもしれない。

次で様相が変わるかもしれないということは、言い換えれば今は変化が潜在しているかもしれないということである。継続的な努力は、非線形的な変化によってしきい値超えを実現するための潜在的仕込みだと考えているのが良い。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

 

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茂木健一郎

茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)脳科学者。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。1962年10月20日、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程終了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を出て現在に至る。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。