豊洲移転強行論の主因は汐留・築地再開発利権 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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「西の豊中」「東の豊洲」古くは「北海道開拓使官有物払い下げ事件」の問題をあいまいに決着させてはならない。

西の豊中では、安倍昭恵氏が「関与」して、国有地が不正に激安価格で払い下げられた疑いが濃厚である。安倍首相は自分や妻が森友学園の土地取得問題や学校認可問題に関わっていたら、首相も議員も辞職することを明言している。

そして、安倍昭恵氏の関与の疑いが濃厚になったのであるから、安倍首相は首相と議員を辞任するべきである。辞任したくないなら、安倍昭恵氏に公の場で説明をさせる必要がある。これを拒むなら安倍首相は直ちに辞任するべきだ。

閣僚を辞任させて「任命責任は私にある」と発言してすべてを済ませると考えているのなら大間違いである。野党は国会審議を止めて、安倍昭恵氏の証人喚問を要求するべきだ。あいまいな決着を容認してはならない。

東の豊洲の問題では、多くの利権に群がる勢力が、豊洲移転を強引に推し進めようとしている。なぜ豊洲移転強行なのか。最大の理由は「豊洲利権=築地・汐留利権」という構造にある。築地市場を閉鎖して何をするのか。

利権に群がる勢力は、「汐留・築地ビジネスセンター創設」を目論んでいる。このプロジェクトが進行すると、巨大な土木建設ビジネスが転がり込む。同時に、汐留・築地地権者に巨大な不動産利益が転がり込む。

この利権に群がる勢力が、豊洲移転を強引に強行している。豊洲では、汚染物質まみれの不動産を東京都が法外に高い価格で買い取った。豊中の逆バージョンが豊洲土地買入れである。これも「巨大な利益供与事案」であり、本来、刑事事件として立件するべき問題である。百条委員会が偽証を認定したなら、直ちに刑事告発に踏み切るべきである。

汐留・築地地域の地図および航空写真を見ると一目瞭然だが、築地市場を閉鎖してこの地域をビジネスセンターとして再開発すると、巨大な土木建設事業が発生し、築地・汐留地域地権者に巨大な不動産益が転がり込むことになる。

この地域に本拠地を構える企業に、電通、朝日新聞、共同通信、日本テレビなどがある。当然のことながら、不動産企業、土木建設企業にとっても、巨大ビジネスセンター構築の旨味は絶大である。この利権に群がる勢力が豊洲移転を強引に推し進めているのだ。

東京都の決定により、巨大利権を獲得することになる民間事業者に「巨大な利益供与」が行われる。この「巨大利益」を数値化して、東京都への納入などの措置が採られるなら理解できるが、その「外部経済効果」を無償で獲得するなら、これは行政の中立性に反する事象となる。

日本の食文化が重要な価値を発揮するこの時代に、築地のブランドを放逐することは許されない。「築地ブランド」を活かし、食文化の「聖地」として「築地」を再整備することが正しい選択である。小池都政は都議選に向けて、「築地再整備」の方針を明確に示すべきである。

利権複合体のよこしまな圧力に抗するには、東京都民の理解を得ることが重要だ。利権複合体の広報部隊であるマスメディアが、これから豊洲移転を強行するための情報操作を本格化させる。こうした利権まみれの豊洲移転強行をはね返して、築地再整備で決着を図るべきである。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。