<松居騒動>松本人志「ワイドナショー」が爆問「サンデージャポン」よりつまらない理由

テレビ

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
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日曜日の同時間帯に放送されている7月9日放送の松本人志「ワイドナショー」(フジテレビ)と、爆笑問題「サンデージャポン」(TBS)を両方比較して見た。
この日のトップネタは当然ながら松居一代と船越英一郎のぐじゃぐじゃである。
比較してみると明らかに松本「ワイドナショー」の方がつまらない。その理由はいくつかあるが、一番大きいのは爆問「サンデージャポン」が、メタ・ワイドショーになっているのに対して、松本「ワイドナショー」が、普通のワイドショーとさして変わりがないからである。
「メタ・ワイドショー」というのはワイドショーのワイドショーであって、普通に放送しているワイドショーを斜めから見る構造を爆問「サンデージャポン」が持っているということである。
対して松本「ワイドナショー」は工夫がなく東野幸治司会の平凡なワイドショーそのものである。東野はなまじ司会が出来るので発言も多く、振りもまとめもワイドショーの司会者そのままである。セットもコメンテーターの並びもワイドショーであって、変化という制作者の工夫が見られない。
【参考】<ワイドショー>「金と女と事件と他人の不幸と強欲」は視聴率がとれる?https://mediagong.jp/?p=15204
通常のワイドショーなら視聴率を取るためにトップ項目に持ってきた関心のあるネタを出来るだけ長時間引っ張るという構成を用いるが、それさえしていない。本来のワイドショー自体の構造を研究したというあとも見られない。
一方、爆問「サンデージャポン」はワイドショー自体を研究している。サンジャポジャーナリストを使って愚にもつかない取材(褒めことばである)を加えて、引っ張るだけ引っ張るワイドショーの形を真似し、茶化す。その精神や良し。
コメント力にも差がみられる。まともで実は当たり障りのない意見を言うコメンテーターのパロディとして、杉村太蔵が機能する。
さらに、大きな売りである番組の主人のコメントにも差が見える。松居一代と船越英一郎のぐじゃぐじゃに対する松本人志のコメント。

松本「夫婦げんかは犬も食わないと言うが,いっぱい(たくさん)、食わされましたね」

一方、太田光。

太田「(ブログから)松居一代が飛び出してくるかと思いました」

野暮ながら解説すると「リング」の貞子をイメージしているのだろう。太田は「サンジャポの僕のコメントは台本に書いてある」とかつて発言しているが、いくつかのコメント候補をあらかじめ持って、その中から瞬発的にひとつを選んでいることは確かだろう。
制作者から言わせて貰えば、タレントは何も考えずに本番に臨んではいけないのである。
 
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