NHK良識派が「森友国有地不正重大情報」報道 – 植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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フジテレビ報道番組に民進党の玉木雄一郎議員と自民党の青山繁治議員が出演し、加計疑惑について論争を演じた。

青山氏は国費を投入してこの問題を国会で長時間審議することが問題だと主張し、玉木氏は安倍政権が情報を公開すれば1日ですむ事案だと答えた。民進党が自民党の情報誘導に乗ってしまうから問題の本質がずらされてゆくのである。

テレビ番組で対決討論するなら、民進党は強力な論者を送り込むべきである。自民党の青山繁治氏のような正論をきちんと組み立てることすらできない論者に誘導されるようでは安倍政治打倒など山の彼方に消え去ってしまう。

森友疑惑も加計疑惑も小さな問題などではない。政権の存立を吹き飛ばすような極めて重大な問題である。問題を追及する側が、問題の重要性を視聴者にはっきりと分かるように訴えなければ、青山氏が言うように、国会で時間をかけて論議する意味など主権者に理解されるわけがない。

加計問題の本質は、安倍首相の個人的な近親者による獣医学部新設を、安倍首相が政治権力を私物化して、強引に決定したと見られる事案である。獣医学部を新設すること自体が否定されるべきものではないが、獣医学部を新設することになれば、客観的な評価として、京都産業大学による新設を認めるのが順当な判断となる可能性が高かった。

このことから、安倍首相の意向の下で、極めて異例の行政決定プロセスが用いられて、加計学園による獣医学部新設が決定された。

政治の私物化、政治の腐敗という、民主主義政治における最大の害悪が表面化した事案である疑いが濃厚なのである。極めて重大な問題であり、国会が時間をかけてでも真相を究明し、問題の適正な処理を図ろうとすることは当然のことである。

これを、どうでもよい問題であるかのように表現する青山氏の主張を厳しく糾弾するのが、玉木氏が実行するべき責務であったが、基本的な部分で青山氏発言に同調してしまうのでは、野党の追及が腰砕けになるのは当然のことだ。

加計学園による獣医学部設置問題が一気に動いたのは、2016年6月から11月にかけてである。第3次安倍第2次改造内閣が発足したのが2016年8月3日だ。この内閣の地方創生相に山本幸三氏が就任し、国家戦略特区を担当することになった。

ここから事態が急変し、11月9日には「追加の規制改革事項」が決定されてしまう。そして、2018年4月開学を定めて獣医学部新設の公募が行われた。これに応募できるのは加計学園のみである。加計学園の獣医学部開設を認めるための特殊な行政プロセスが展開されたのである。

この三文芝居の演者は、山本幸三、竹中平蔵、八田達夫であり、助演が加戸守行元愛媛県知事、山本有二農水相である。山本幸三・竹中平蔵・八田達夫をつなぐ点と線については、稿を改めて詳しく論じる予定である。

私は1985年から87年にかけて大蔵省財政金融研究所に勤務したが、この時代に創設された財団法人研究情報基金という外郭団体を舞台に、山本幸三氏と竹中平蔵氏が結びついている。その後の日本はハゲタカ勢力の手先による日本収奪が実行される歴史をたどる。その日本を収奪する売国勢力が猖獗を極めてきたのが2001年以降の日本政治である。

国会では取り上げられる頻度が低下した森友疑惑であるが、本日のNHKの午後7時定時ニュースが極めて重大な事実を伝えた。森友疑惑の核心は、時価が10億円は下らないと見られる国有地が1億3400万円の激安価格で払い下げられたという点にある。

不正廉売が事実であれば、財政法第9条に違反し、当該行政官は刑法上の「背任罪」を問われることになる。これが問題の核心である。

私は本ブログ、メルマガで、本年2月以降、この問題を徹底追跡してきたが、そのなかで、最終的に近畿財務局と国有地払い下げの価格交渉を行ったのが森友学園の元顧問弁護士で酒井康生氏であると指摘してきた。

酒井氏が近畿財務局との折衝内容を詳細に把握していると考えられ、酒井氏を国会に招致して尋問することが重要であることも指摘してきた。

酒井氏は顧問弁護士としての守秘義務を負っているが、クライアントである森友学園の籠池泰典元理事長は、価格交渉の詳細を酒井弁護士が公開することを歓迎すると考えられるから、酒井氏は公益上の視点から事実関係を公開するべきであると思われる。

NHKは独自情報として、近畿財務局と森友学園の代理人との間で交渉を行い、実質タダとなる価格で払い下げ価格が決定されたと考えられると報じた。森友学園が支払える金額の上限が1億6000万円でされた一方で、国が支払う土壌改良費が1億3200万円であるため、この間で払い下げ価格が決定されたとの経緯が報じられた。

こうなると、近畿財務局の行動は違法行為となる可能性が高く、佐川宣寿前財務省理財局長は国会において虚偽答弁を行った疑いが濃厚になる。すでに大阪地検特捜部は刑事告発を受理しており、この問題が刑事事件に発展する可能性が急激に高まったと言える。

森友・加計・山口三兄弟疑惑は、政治の根幹を揺るがす超重大問題である。軽い問題ではまったくないことを、改めて確認する必要がある。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。