<超陳腐!内閣改造>ガス抜きにもイメージ刷新にもならぬ人事 -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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第3次安倍政権の再々改造内閣が発足した。斬新さも、特徴もない、陳腐な陣容になった。官房長官、財務相、副総理、幹事長が不変で変わりばえしない。骨格が変わらず、外装だけ模様替えしても、全体像が変わった印象がない。

サプライズ人事を断行して早期の解散総選挙に打って出る可能性はあったが、とても選挙に打って出ることのできる陣容ではない。内閣支持率が急落した主因は安倍首相にある。

文部科学省内の行政文書等が流布されたとき、菅義偉官房長官は「怪文書」だと述べた。しかし、「怪文書」ではなく、れっきとした真実の文書であることが判明した。「行政プロセスが歪められた」ことを指摘した前文部科学省事務次官の前川喜平氏に対して、安倍首相官邸は警察権力が収集した歪んだ情報を流布して前川氏の人格攻撃を展開した。

菅義偉官房長官は、前川喜平氏が事務次官職を辞任することに抵抗し、「地位に連綿(れんめん)としていた」と記者会見で述べたが、これは「恋々」を言い間違えたものである。それだけでなく、「地位に恋々としていた」という菅氏の発言内容そのものの事実に反することが明らかになった。

重大な疑惑、巨大スキャンダルが発覚して、主権者国民に対して真摯な姿勢で説明責任を果たさねばならないときに、菅義偉氏は木で鼻を括ったような傲慢な説明姿勢を示し続けてきた。内閣のスポークスマンであり、要である菅義偉官房長官も留任。疑惑の核心に位置する安倍首相も留任。これで内閣支持率が上昇するわけがない。

万が一、内閣支持率が上昇するなら、それは完全に捏造数値ということになる。メディアも内閣改造を大きく報道していない。これまで安倍政権を全面支援し続けてきたメディアも、安倍政権の転落、崩壊を明確に意識し始めている。

主権者国民は安倍首相にたいする信頼を完全に失った。元々信頼していない人が主権者国民の半分を占めているだろう。安倍政権を支持してきた主権者は、主権者全体のせいぜい25%であると見られるが、この25%の支持者が完全に安部離れを起こしている。

一度失った信頼を取り戻すことは容易でない。信頼を得る方法があるとすれば、それはただひとつ。真実を正しく主権者国民に伝えることである。

重大疑惑が三つある。森友、加計、山口である。いわゆる「アベ友三兄弟」である。この疑惑に答えずに、内閣改造を実施しても、何の意味も、何の効果もない。むしろ、疑惑の核心から主権者の目を逸らそうとしているとしか思われない。内閣支持率は低下の一途をたどることになるだろう。

口先で「お詫び」を述べても、内容が空虚であれば意味はない。森友学園疑惑の核心は、国有地の不正払い下げ疑惑だ。その基本構図が鮮明に浮かび上がりつつある。

国は当該国有地の埋設物除去費用として1億3200万円支払うことを前提に、1億3200万円以上で売却することを決めた。同時に、国は、森友学園に対して、1億3200万円を含めて、支払い可能な金額の上限値を尋ねた。森友学園は1億6000万円と答えた。

これを踏まえて、国は当該国有地を1億3400万円で払い下げることを決めた。実質200万円での払い下げである。これを決めた上で、形式上、適正な売却に見せるために、地下埋設物除去費用を計上した。その金額の積算根拠を捏造した。これが不正払い下げの基本構図である。すでに、全体像が明らかになってきている。

大阪地検特捜部は財務省、近畿財務局の行為を「背任罪」で摘発しなければならない。森友学園の籠池泰典夫妻を逮捕、勾留しても、疑惑の本丸がそこにはないことを、ほぼすべての主権者国民が認識してしまっている。

大阪地検特捜部が本丸捜査に本格着手し、行政官を逮捕、勾留することが避けられない情勢になっている。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。