<際立つ醜態>安倍・麻生・内田の生きざま -植草一秀


植草一秀[経済評論家]

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あまりにも醜(みにく)い。日本の惨状は責任ある立場にある者が人間としての美学を完全に失っていることに原因がある。地位があっても学歴があっても、人間としての生きざまが醜悪に過ぎればまったく価値がない。

生きざまの醜悪さが日本の地盤沈下をもたらしている。安倍晋三首相、麻生太郎財務相、佐川宣寿元理財局長、福田淳一前財務事務次官、そして、日大アメフト部の内田正人前監督と井上奨コーチ。

この6名に共通していることは、真実に正面から向き合わず、保身と自己弁護に終始していることだ。嘘をつき通して、自分の利益、自分の地位に恋々とする。醜悪な生きざまである。

昨年2月以来、森友疑惑、加計疑惑が国会審議時間の太宗を占有してきた。森友疑惑では、14の決裁公文書が大規模に改ざんされた。刑法を公正に適用すれば虚偽公文書作成罪に該当することは明白だ。

また、時価10億円の国有地が実質200万円で払い下げられた行為は財政法に違反し、刑法の背任罪が成立するものである。さらに、国会に虚偽公文書を提出して国会審議を妨害したことは「偽計業務妨害罪」に該当するものである。

この問題に安倍首相や安倍首相夫人がかかわっていたら、「安倍首相は首相も国会議員も辞める」と明言しているのだ。安倍首相は昨年2月17日の衆議院予算委員会で次のように述べた。

「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」

「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、(中略)繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」

財務省は近畿財務局および財務省と森友学園との交渉記録について、廃棄して存在しないとしてきた。ところが、膨大な交渉記録が存在することが明らかにされ、その文書が公開された。財務省は「廃棄して存在しない」と国会で答弁したのちに、廃棄を指示していた。

この行為も明確に「偽計業務妨害罪」に該当するものである。新たに刑事告発が行われるべきである。交渉記録が明らかにしていることは、安倍昭恵氏が公務員秘書の谷査恵子氏に指示して財務省と折衝させたことを契機に、国有地の激安払い下げが急進展したという事実である。

安倍首相は安倍昭恵氏が指示して折衝が行われたわけではないとしているが、客観的な事実は安倍首相の主張を覆すものである。疑惑を晴らすには安倍昭恵氏による説明が必要不可欠である。

安倍首相が安倍昭恵氏の国会での説明の機会を設定しないことが、この問題の解決を遅らせる主因になっている。加計疑惑では2015年2月25日に安倍首相が加計孝太郎氏と面会していたのかどうかが最大の焦点として浮上している。

加計学園職員が愛媛県との打ち合わせで面会の事実を明らかにしたというものだ。この報告を受けた愛媛県の中村時広知事がその内容を公開している。「伝聞の伝聞」だとして、懸命に事実を否定しようとする主張が提示されているが、「伝聞の伝聞」であることが「ウソ」であることの根拠にはならない。

2015年2月25日に安倍首相と加計孝太郎氏との会話が事実であり、加計学園の獣医学部新設の意向を安倍首相が聞いていたとするなら、安倍首相は完全に終わりである。政局は極めて重大な局面を迎えている。

事実を明らかにするには、2015年3月3日に行われた愛媛県と加計学園との打ち合わせに出席した者から話を聞くことが必要だ。打ち合わせに出席した愛媛県職員と加計学園職員を国会に参考人招致するべきである。

この打ち合わせは、加計学園から愛媛県に対して、安倍首相と加計孝太郎氏の面談内容を報告したいと申し出があったことを受けて開かれたものだと愛媛県が公開した文書が示している。2月25日に安倍首相と加計孝太郎氏が面談した疑いは極めて濃厚である。

真実に正面から向き合い、醜くない生きざまを示すべき局面である。

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植草一秀(うえくさ・かずひで) 1960年、東京生まれ。経済評論家(日本経済論、金融論、経済政策論)。東京大学卒業後、野村総合研究所、大蔵省財政金融研究所研究官、京都大学経済研究所助教授、野村総合研究所主席エコノミスト、早稲田大学大学院公共経営研究科教授、名古屋商科大学客員教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役社長。